IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その5)
今日は、財務諸表の質的特性(財務諸表が利用者にとって有用なものとなるための属性)の3回目、「信頼性」です。これは読んで字の如く、財務諸表が利用者にとって信頼できるものであることですが、フレームワークでは非常に多くのコメントが記されています。
信頼性
フレームワークは、財務諸表が信頼性の特性を有するために必要な要件をいくつか示しています。
①事実を忠実に表現していること
事実を忠実に表現するためには、取引その他の事象を「単に法的形式に従うのではなく、その実質と経済的実態に即して会計処理され表示されること」(第35項)が必要であるとされています。
一方で、「ほとんどの財務情報は、それが意図したような忠実な表現にまで至らないという何らかのリスクを有している」(第34項)という記載も見受けられます。これは、取引その他の事象を識別することが困難さや測定及び表示上の技法を考案し適用することの困難さに起因するとされています。
②情報が中立であること(不偏性を有すること)
情報が中立であるために、フレームワークは1つの示唆を与えています。財務諸表を作成する際に、不確実性を伴うことが少なくありません。このような不確実性を伴う事象を財務情報として開示する場合、慎重性(ある程度の用心深さ)を行使することが必要になると書いています。不確実性を伴う事象であっても、会計数値が過大あるいは過小なものとなってはならないというわけです。
③情報が完全なものであること
情報が信頼性を有するために、情報の脱漏があってはならないとされています。すなわち、必要な情報が「完全に」含まれていなければならないということです。
私も、監査の仕事をしてきましたが、監査の仕事はまさに「会計情報の信頼性」を保証することだったわけで、会社の財務諸表がこの3つの要件を備えているかをチェックする仕事だったと思います。
フレームワークを読んで感じたのは、ついつい物事の形式的な側面を捉えて会計処理の判断をしてしまいがちだったなあということです。しかし、物事の実質を捉えるということは、ある意味主観的な判断に頼らざるを得ない部分があり、そういうことを考えると、事実を忠実に表現するということは非常に難しい問題があると感じています。
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