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2008年4月

IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その13)

フレームワークには、財務諸表の構成要素ごとにその認識基準が示されています。今回は、その部分を読んでいくことにします。

まず、資産の認識基準ですが、「資産は、将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ、資産が信頼性をもって測定できる原価又は価値を有する場合に、貸借対照表に認識される」(第89項)となっています。

また、第90項においては、経済的便益が当該会計期間以降に企業に流入することが見込まれない支出が発生しても資産は貸借対照表に認識されず、費用として認識されるということが書かれています。このことは、経営者の意思や判断を問うているものではなく、経済的便益が将来企業に流入するであろう確実性の度合が、資産の認識を保証するのに不十分であることを意味するとされています。

一方、負債は、「現在の債務を履行することによって経済的便益を有する資源が企業から流出する可能性が高く、かつ、弁済が行われる金額が信頼性をもって測定できる場合に、貸借対照表に認識される」(第91項)とされています。

また、第91項には、「実務上、未履行の契約の契約に基づく債務(例えば、注文したが未だ受領していない棚卸資産に関する負債)は、一般的に、財務諸表において負債として認識されない。しかし、かかる債務は、負債の定義を満たし、特定の状況において認識基準が満たされるならば、認識されることとなる。」という記述があります。

日本の実務においても、未だ受領していない棚卸資産に関する負債を計上するケースとは、貿易取引における未着品のケースなど一部に存在すると思われますが、国内取引の場合にはあまりないのではないかと思います。細かい部分ではありますが、こうした負債も今後認識することになるのでしょうか?

次回は、収益と費用の認識基準を検討したいと思います。

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日本基準の同等性評価

4月25日の日本経済新聞夕刊によると、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、日本の企業会計基準が国際会計基準(国際財務報告基準?)と同等であると判断する報告書を公表したとのことです。

最終的には、EUの最終意思決定機関であるEU総会の承認を経る必要があるようですが、これにより日本の会計基準で作成された財務諸表はEU域内でも受け入れられる可能性が高くなり、いわゆる「2009年問題」は回避される公算が高まったことになります。

ただ、報告書は、日本の企業会計基準を国際会計基準に刷り合わせる作業が進んでいることを評価しており、作業が遅れない限り同等と判断できるとの結論が示されているようです。つまり、今後も日本の会計基準の改訂作業が順調に進み、新しい会計基準が定着することが条件となっているとも読み取れそうです。

いよいよ、日本の会計も、また一歩新しい世界に足を踏み入れることになりそうです。一体、我々にどのような世界を見せてくれるのでしょうか?

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その12)

IFRSのフレームワークの話も12回目となり、いよいよ佳境に入ってきました。今回は、財務諸表の構成要素の認識についてです。

前回までは財務諸表の構成要素の定義について考えてきました。今回からは「認識」、すなわち、構成要素の定義を満たすものをいつ決算書(貸借対照表や損益計算書)に載せるのか(フレームワークの原文では組み入れるという言葉を使っていますが)を考えていきたいと思います。

認識のルールとして、フレームワークの第83項では、以下の記述があります。

(a)当該項目に関連する将来の経済的便益が、企業に流入するか又は企業から流出する可能性が高い。

(b)当該項目が信頼性をもって測定できる原価又は価値を有している。

1つ気がつくのは、将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い段階で、認識を行うとされている点です。私が学んだ財務諸表論から考えると、将来の経済的便益が企業に流入したと認められた時点で(収益)認識を行うべきであり、少し収益認識の幅を持たせているのかなと感じられます。一方、経済的便益が企業から流出する可能性が高い段階で認識を行うのは、引当金の会計処理がイメージされるところであり、それほど今の会計と違和感はないのかなと思います。

経済的便益が流入(流出)することの不確実性(フレームワークは蓋然性という言葉を用いていますが)、は企業活動の環境における不確実性と同じであり、この不確実性の評価は財務諸表の作成時において利用可能な証拠によって行われなければならないとされています。(第85項)

また、測定の信頼性については、見積りを否定するものではなく、むしろ合理的な見積りの採用は財務諸表の作成に必要不可欠であるとされています。逆に言えば、合理的な見積りができない場合には、認識は行われないとされています。(第86項)

次回は、財務諸表の各構成要素の認識基準について、研究していきたいと思います。

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監査の過失に賠償命令

4月19日の日本経済新聞に、現在民事再生手続中の会社の管財人が大手監査法人を相手取り、粉飾事件を見抜けずに会社に損害を与えたとして損害賠償を求めた裁判で、損害賠償を命じる判決があったとの記事がありました。

判決では、「監査法人は財務上に不自然な兆候があった場合、原因究明する追加の監査手続を行うべきであり、それを怠れば責任を免れない」との指摘があったようです。

また、先日、日本公認会計協会近畿会が行った「勤務実態及び監査業務への意識」に関するアンケート調査の結果が公表されました。

そのアンケートの質問の中に、「監査業務」を行う中での不満足要因は何ですか?との質問がありました。この質問に対する回答の上位が、①形式的な(調書)書類作成が多すぎる、②間接業務が多い、③時間に余裕がない、④こなす作業が多く考える時間がない となっていました。

これらは一体何を意味するのでしょうか? 監査が社会から求められているものと監査現場との実態に大きな乖離があるということが言えるのではないかと思います。私自身も監査法人勤務中には少なからず悩んでいたテーマだったように思います。

監査制度の強化という名の下に、監査法人に対するチェック機能は強化されました。しかし、その強化は、監査法人の業務内容を可視化するための文書作成の強化に偏りがちです。監査が本来の機能を取り戻すために、チェック強化の方向性を見直す必要があると感じているのは、私だけではないと思うのですが。

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会計基準のコンバージェンスに関するセミナーに参加しました

去る4月10日(木)、大阪で国際会計基準審議会(IASB)と日本の企業会計基準委員会(ASBJ)の共催によるセミナーが開催され、私も参加してきました。

今回のセミナーで注目だったのは、IASBの議長であるデービッド・トウィーディー氏の講演が聞けるという点でした。日本でしかもコテコテの(?)大阪で、何をお話されるのか少し期待して参加しました。(トウィーディー議長にとっては、東京であろうと大阪であろうと日本に違いはなかったと思いますが。)

20分ほどの講演でしたので、それほど国際会計基準の内容に踏み込むことはなかったのですが、やはり、国際会計基準(世界で唯一の高品質な会計基準)の作成に、日本人も参加して欲しいということは力説されていました。日本人は「グローバル化」と聞くと、「外圧」とか「日本の独自性がなくなる」と受け止めてしまいがちですが、そのような受身的なものではなく、国際会計基準の議論の中に日本の主張をどんどん盛り込んでいかなければならないと感じました。

あと、「会計科学はロケット科学であってはいけない。」という言葉が印象的でした。会計基準の理解にずいぶん苦労している私としては、是非今のロケット科学のような会計基準から脱却していただきたいと願うばかりです。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その11)

財務諸表の作成及び表示に関するフレームワークの第11回は持分と収益・費用について考えてみたいと思います。

まず、持分の定義ですが、「持分とは、特定の企業のすべての負債を控除した残余の資産に対する請求権である。」(第49項) となっています。つまり、持分とはこれまでみてきた「資産」から「負債」を控除したものとなっており、持分そのものが積極的に定義されているわけではないということが言えるかと思います。

次に、収益及び費用ですが、それぞれ以下のように定義されています。(第70項)

「収益とは、当該会計期間中の資産の流入若しくは増価又は負債の減少の形をとる経済的便益の増加であり、持分参加者からの拠出に関連するもの以外の持分の増加を生じさせるものをいう。」

「費用とは、当該会計期間中の資産の流出若しくは減価又は負債の発生の形をとる経済的便益の減少であり、持分参加者への分配に関連するもの以外の持分の減少を生じさせるものをいう。」

以前に述べたように、IFRSではいわゆる資産負債アプローチが採用されているため、収益・費用の定義自体を積極的に行っているわけではありません。ただし、フレームワークにおいては、いくつかの収益・費用に関する説明がなされています。

収益には、利得が含まれる。(第74項) 費用には、損失が含まれる。(第76項)

⇒今まであまり深く考えたことはなかったのですが、狭義の収益や費用は通常の活動の過程において発生するのに対し、利得や損失には通常の活動の過程において発生するわけではないもの(例えば、非流動資産の処分)が含まれると説明されています。この区分が何らかの意味を持つのかどうかについて、注意しておきたいと思います。

収益の定義には、未実現利得も含まれる。(第76項)

⇒確かに資産の定義を考えれば、いわゆる評価益のような未実現利得が計上される可能性も十分に考えられます。この辺りについても、具体的な資産の評価のルールがどのようになっているのか、注意しておきたいと思います。また、このような記載もあります。

「資産及び負債の再評価又は修正表示によって、持分の増加又は減少がもたらされる。持分の増加又は減少が収益及び費用の定義を満たすとしても、これらは特定の資本維持概念の下では損益計算書に計上されない。その替わりに、これらの項目は、資本維持修正額又は再評価剰余金として、持分に計上される。」(第81項)

⇒この内容は、資産・負債に関するすべての評価損益が収益・費用になるわけではないことを意味しています。資本維持概念については、フレームワークの最後の部分で登場しますので、また検討することにします。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その10)

今回でIFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワークの話題も10回目になってしまいました。しかし、いよいよ佳境に入ってきましたので、頑張りたいと思います。今回は負債のお話です。

フレームワークでは、負債は以下のように定義されています。

「負債とは、過去の事象の結果として当該企業の現在の債務であり、これを決済することにより経済的便益を包含する資源が当該企業から流出する結果になると予想されるものをいう。」(第49項)

この文言を読むと、それほど負債に関しては特別なことは記載されていないのではないかとお思いになる方も多いかもしれません。しかし、財務諸表はその利用者が行う経済的意思決定に役立つ情報を提供するものであり、その経済的意思決定とは、企業がキャッシュを生み出す能力、その発生時期及び確実性を評価することとされていました。当然、負債の定義についても、この影響を受けているのではないかと思われる箇所が見受けられます。

・負債の基本的な特徴は、企業が現在の債務を負っていることである。債務とは、ある一定の方法で実行又は遂行する責務又は責任である。…(中略)… しかし、債務は、通常の取引慣行、慣習及び良好な取引関係を維持し、又は公正とみなされるように行動したいという要望からも生じる。(第60項)

⇒すなわち、債務は通常法律上の義務である場合が多いが、必ずしもそうとは限らないということを示しています。また、

・第49項の負債の定義は、より広義なアプローチを採用している。したがって、引当金が現在の義務であって、かつ残りの定義を満足させるときには、たとえ当該金額を見積もらなければならない場合でも負債となる。(第64項)

⇒この文章は引当金の負債性について言及したもの(確か、財務諸表論の正解では引当金は負債かという議論もあったような記憶がありますが…)とも考えられます。ただ、私はこれまでの議論を踏まえると、現在の時点において、過去の事象に基づき将来の経済的資源の流出が合理的に予想されるものはすべて負債として計上しなければならないというように理解した方がいいのではないかと考えています。

債務という言葉からは、いかにも法律上の義務だけを対象としているような印象を持ってしまいそうですが、注意が必要です。

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