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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その17)

資本維持の概念とは、利益を測定する基準点を提供することになるとフレームワークは述べています。(第105項) すなわち、持分から維持すべき資本を差し引いた部分が利益になると考えられる訳です。

よって、前回確認した資本概念に照らし合わせると、以下のような利益の算出過程が導き出されます。(第104項)

a) 貨幣資本の維持…利益=「純資産の名目(または貨幣)額-所有者からの出資額」の期首期末の差額となる。

b) 実体資本の維持…利益=「企業の物的生産能力-所有者からの拠出」の期首期末の差額となる。

この2つの資本維持概念の差異は、企業の資産及び負債の価格変動の影響に関する取り扱いにあるとされています。

貨幣資本維持概念においては、維持すべき資本を投下した貨幣と定義した場合(通常の会計のルールです)は、それを超える持分の増加はすべて利益になります。概念上は、保有している資産の価格の増加(保有利得)は利益となりますが、実際には、資産が処分されるまでは、利益として認識されないことの方が多いでしょう。これは、「将来の経済的便益の増加を信頼性をもって測定できる」という収益の認識基準を満たしていないからと考えればよいかと思われます。

すなわち、実体資本維持概念においては、維持すべき生産能力を調達するために必要な金額(貨幣額)が資本となると考えられるため、価格変動の影響は資本維持修正額として取り扱う必要があります。よって、実体資本維持の概念の下では、財務諸表の構成要素を現在原価で算定する必要があると考えられます。

資産及び負債の再評価又は修正表示によっても持分の増加又は減少がもたらされますが、特定の資本維持概念の下では損益計算書に計上されない(第81項)という意味がここにあることが分かります。すなわち、維持すべき資本概念が利益の測定基礎を与えることになるのです。

フレームワークの最後に、「財務諸表の構成要素の測定基礎及び資本維持の概念の選択によって、財務諸表の作成に当たって用いられる会計モデルが決定されるが、このフレームワークは一定範囲の会計測定モデルに適用可能なものである。現在のところ、IASC理事会(現在のIASB)は、例外できな状況下(超インフレ経済など)を除いて、特定の会計モデルを規定する意向はないが、各国における会計の進展に照らして再検討されるであろう。」(第110項を要約)という記述があります。現在の日本の会計では名目貨幣資本維持の会計がある意味当然のように行われていますが、この考え方も将来変わる可能性があるということに留意すべきであると思われます。

3月初めから、およそ2ヶ月にわたってIFRSの財務諸表の作成・表示に関するフレームワークを読んできました。このフレームワークは、IFRSの会計基準の根底に流れる考え方であり、それぞれの会計基準を理解する上で非常に重要なものであると考えました。私も読んでみて、自分が勉強した会計学の考え方とは多少異なるところもあり、興味深く読むことができたと考えています。

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