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2009年5月

社外取締役の設置を強制?

本来は、IAS第1号「財務諸表の表示」に総まとめをすべきところなのですが、20回以上にもまたがって記事を書いてしまったため、再度の読み直しに時間がかかっています。いずれ、近いうちに総まとめの記事をupしたいと思います。

5月27日の日本経済新聞朝刊の記事からです。

経済産業省は、上場企業の経営監視体制を強化するため、社外取締役を置くか独自の対策をとるかを選ぶ制度を設ける方針を示したそうです。政府内の調整を急ぎ、証券取引所の上場規則などに具体策を盛り込み、少数株主(個人投資家のイメージでしょうか)が安心して投資できる環境を整え、日本の株式市場の活性化を図る目的があるようです。

このようなアイデアが出された背景として、日本の上場企業の97%が監査役(会)設置会社であり、社外取締役の設置は任意となっているが、買収防衛策などを巡って株主と経営陣の利害が対立する事例も多くなり、投資家の間からは「監査役制度では経営の監視が不十分であり、社外監査役の設置が必要」との声が上がっているようです。

一方で、企業側(日本経団連)は、上場規則において取締役会の過半数が社外取締役である米国の金融危機を例に出して、社外取締役の義務化の実効性に疑問があると反論しているそうです。(要するに、社外取締役制度を強化しても、行き過ぎた経営は起き得るということが言いたいのでしょうね。)

このような状況を踏まえて、英国の制度を模して、社外取締役制度を導入するか同等の効果が得られる独自策を構築する方向で調整に入っているようです。

この記事を読んで、いくつかの疑問点が沸いてきました。

①監査役制度は本当に機能していないのか? 機能していないとすれば、なぜ機能しないのか?

②社外取締役制度だと、なぜコーポレートガバナンスが向上すると考えられるのか?

③社外役員制度が機能しない理由は、制度(仕組み)の問題ではなく、日本人の性格等に起因する部分が大きいのではないのか?

というようなことです。どなたか、これらの疑問に答えていただける方からのコメントをお待ちしております。

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IAS第1号「財務諸表の表示」(その22)

20X4年度の当企業グループの戦略は、2003年度と変わっておらず、BB信用格付けを維持することによって合理的なコストで財務行為を確実に行えるようにするために、負債調整資本比率を6:1から7:1の範囲の下端に維持することである。20X3年12月31日と20X4年12月31日の負債調整資本比率は、以下の通りである。

                     20X4年12月31日 20X3年12月31日
                      百万通貨単位   百万通貨単位

総負債                      1,000          1,100

控除:現金及び現金同等物          ( 90)           (150)          

純負債                       910            950

総資本(持分)                   110            105

加算:劣位弁済債務(劣後債務)         38                    38

控除:キャッシュフローヘッジに関連
する持分の累積額                 ( 10)            (  5)

調整された資本                     138                   138      

負債調整資本比率                  6.6                    6.9

20X4年度における負債調整資本比率の減少は、主に、Z子会社の売却で生じた純負債の減少によるものである。この純負債の減少、収益性の改善、管理債権の水準の低下の結果として、20X4年度の配当金は2.8百万通貨単位まで増加した。(20X3年度の2.5百万通貨単位から)

以上が、IASの基準書に示されている開示例です。翻訳については、かなり拙い面がありますことはご容赦いただきたいと思いますが、どのような注記が求められているのか雰囲気だけでも伝わればいいのではないかと思います。

資本に対する企業の管理方針というのは、現状においても、有価証券報告書や決算短信等で開示されている企業もあるかもしれませんが、IFRSでは財務諸表の注記の1つとして記載されることが求められていますので、明確な管理指標等を設定し、それに沿った企業活動・財務活動を展開し、そして対外的に説明するというサイクルをきちんと回していくことが求められるのではないかと感じました。

次回は、IFRSの導入に関して提起されている課題・問題点を、IAS第1号を読んでみた感想と絡めて述べてみたいと思います。

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IAS第1号「財務諸表の表示」(その21)

今回は、資本の開示に関する記載例を読んでみたいと思います。IG(Guidance on implementing)第10項に示されています。

IG第10項では、金融機関ではなく、また、外部の資本要求を課されていない企業の開示例が示されています。この事例では、企業が負債調整資本比率(debt-to-adjusted capital ratio)を用いて資本をモニタリングしており、他の企業が資本をモニタリングするために別の方法を用いていることが想定されています。

この事例は比較的シンプルにできていますが、企業は、その環境を考慮しながら、第134項及び第135項の要求を満足させるために、どの程度詳細に開示を行うかを決定する必要があることが述べられています。

では、開示例の内容を読んでいきましょう。

設定(Facts)

A社グループは自動車を製造し販売している。A社グループは、主としてリースの形態で顧客に融資を提供する金融子会社を含んでいる。A社グループは、いかなる外部の資本要求も課されていない会社である。

開示例(Example disclosure)

資本を管理する際のグループの目的は、以下の通りである。
・株主や他の利害関係者に対する利益を提供し続けることができるようにするために、継続企業として維持していくための企業の能力を守ること。
・リスクのレベルに比例して製品やサービスの価格を決定することにより株主に適切な利益を提供すること。

当社グループはリスクに比例して資本の額を決定している。当社グループは資本構造を管理し、経済環境や本源的資産のリスク特性の変化を考慮しながら、その資本構造を調整している。資本構造を維持しまた調整するために、当社グループは株主への配当、株主への資本の払戻、新株発行、負債を減少させるための資産の売却を調整することがある。

同業他社と調和させながら、当社グループは負債調整資本比率に基づき資本をモニタリングしている。この比率は、純負債÷調整資本として計算される。

純負債は総負債(期末財政状態計算書において表示されているもの)から現金及び現金同等物を控除したものとして求められる。
調整資本はキャッシュ・フローヘッジに関連する持分の累積額を除き、いくつかの種類の劣位弁済債務(劣後債務)を含んだ持分のすべての要素(すなわち、資本金、資本剰余金、非支配持分、利益剰余金、再評価準備金)として計算される。

(次回に続く)

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有価証券の減損処理に関するトピックス

5月14日日本経済新聞朝刊の記事からです。

有価証券の減損処理のルールの適用を巡って、監査法人と金融界が火花を散らしていると記事は指摘しています。減損処理のルールの適用については景気の後退局面では、株式等の価格(時価)が下落することが多いことから、割とよくある話かなとも思うのですが、記事の内容を読んでみました。

①ある大手監査法人が金融機関に示した有価証券の減損処理に関する監査方針の中で、いわゆる「ナンピン買い」を認めない方針が示されているようです。「ナンピン買い」という言葉に馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんが、これは時価が下落した有価証券について、追加取得を行うことによって帳簿単価を引き下げることで、このようなことが行われることで減損処理を回避することができるという側面があります。金融商品会計基準や実務指針においては、この「ナンピン買い」が行われた場合の取扱いが明確に示されておらず、私自身もどのように判断するか(否定するにしても何を根拠に否定するのか)悩んだ記憶があります。

②有価証券の時価が帳簿価額の50%以上下落している場合は、ほぼ強制的に減損処理を行うことが求められますが、時価の下落割合が30%以上の下落である場合に、どのような取扱いを行うのかという点についても意見が分かれているようです。金融機関では時価の下落率が30%以上となった銘柄については減損処理が行われるケースが多い一方で、ルール上は対象企業の信用リスクを示す債務者区分を加味して減損処理の要否を判断することが可能になっているため、債務者区分を引き下げないことで減損処理を回避しているケースがあると指摘しています。

金融界ではこれらの取扱いをもう少し弾力的にするように求める声が上がっているようですが、一方で、監査の判断基準が甘くなれば、決算の信頼性が損なわれる懸念もあり、また、金融当局者の「米国の減損処理の運用は日本より厳しい」という声が記事の中で取り上げられるなど、ぎりぎりの綱引きが行われていることを記事は指摘しています。

昨年の秋に起こった急激な経済環境の悪化と金融市場の低迷で、各金融機関は大きな打撃を受け、時価評価の一部凍結といった事態に発展していました。今回の記事の内容も、金融商品の評価を巡るルールの適用において、厳格な対応を求める監査法人側と弾力的な対応を求める金融機関側の意見対立が表面化しているということが言えそうです。

また、この記事では金融機関の対応の問題が取り上げられていますが、一般企業では同じような問題は起きていないのでしょうか? ①の問題は普通に一般企業でも起こり得る問題ですし、②の問題も若干ルールの違いはあるものの一般企業においても30%以上時価が下落した有価証券の減損処理は検討すべき課題となっているはずです。勝手な想像ですが、金融機関においてこのような問題が浮上している背景には、金融機関の経営がこのような金融商品の運用に過度に依存しているということがあるのではないでしょうか? 駒沢大学教授の石川純治先生はこのような問題を明確に指摘されています。

石川先生のHPはこちら ⇒ http://www.komazawa-u.ac.jp/~ishikawa/profile.htm

もう1つ言えることは、「ルールに書いていないのだから問題ない」とか「ルールに形式的に従っていれば問題ない」という対応になっていないかということです。これは、自戒を込めて書くのですが、規則主義の日本の会計基準を適用するにあたっては、このような対応が少なからず存在するのではないかということです。原則主義のIFRSが日本にも採用された時、同じ対応をとることができるのか? 日本の会計の世界に投げかけられる大きな問題の1つではないかと思いました。

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IAS第1号「財務諸表の表示」(その20)

第134項から136項では、資本に関する注記についての記載があります。

企業は、資本管理に対しての企業の目的・方針・プロセスを財務諸表の利用者が評価することができるように情報を開示することが求められています。(第134項)

この第134項に従うために、企業は、以下の事項について、重要な経営層に内部的に伝えられている情報を基に開示を行うことが求められます。(第135項)

(a) 以下の事項を含む資本管理に対しての企業の目的・方針・プロセスについての定性的情報
 ・企業が何を資本として管理するのかについての記述
 ・いつ企業が外部の資本要求を課されたか、その資本要求の内容、その資本要求がどのように資本管理に組み込まれているか
 ・企業はどのようにして資本管理の目的と適合しているか

(b) 企業が何を資本として管理しているのかについての定量的なデータの要約。いくつかの金融負債が資本の一部とみなされる場合(例えば、一部の劣後債)や資本が持分の一部を除いたものとみなされる場合(例えば、キャッシュ・フローヘッジから生じた項目)がある。

(c) 前事業年度からの(a)及び(b)についての変化

(d) 当事業年度中に企業がすべての外部の資本要求に従ったかどうか

(e) いつ企業が外部の資本要求に従わなかったか及び従わなかったことの結果

BC(結論の背景-Basis of conclusions)87項では、外部の資本要求の例として、法律または他の規制によって規定された規制目的上の資本要求を挙げています。それ以上のことは書かれていないのですが、この言葉からすると銀行や保険会社等の金融機関において定められている自己資本規制のようなものがイメージされるのではないかと思います。

企業は複数の方法で資本を管理し、複数の異なった資本要求に従うかもしれません。例えば、ある複合企業(コングロマリット)は保険業務や銀行業務を行う企業を含み、それらの企業はそれぞれの監督下で業務を行うかもしれません。資本要求や資本がどのように管理されているかの開示が有用な情報を提供していなかったり、企業の資本資源に対する財務諸表利用者の理解を歪めるものである場合には、企業は企業が従うそれぞれの資本要求に対する区分した情報を開示することが求められます。(第136項)

BC第85項~第91項では、資本に関する注記についての結論の背景が述べられています。その中で主な内容について取り上げると、

・企業の資本の水準や企業が資本をどのように管理しているかは、財務諸表利用者が企業のリスク因子や予期せぬ有害事象への企業の抵抗力を評価する際に重要な要素となる。

・企業の資本の水準は企業の配当支払能力にも影響を与える可能性がある。

・資本の開示は外部の資本要求に従っている企業に限定すべきではないし、また、資本に関する注記は規制当局によって要求されている開示に取って代わるものではない。資本に関する開示は、財務諸表の一般的な目的での利用者にとって有益なものである。

・資本の管理に関する企業の目的・方針・プロセスについての議論(考察)との関連で開示されなければならない。そのような議論(考察)は、企業の資本戦略についての重要な情報と結びつく。

・IFRSにおいて資本として定義されているものと異なる(いくつかの要素を含める、あるいは、除外する)ものを企業が資本として取り扱う場合があるが、この開示は企業がどのような要素を資本として管理しているかを表現する1つの機会を与えるものである。

結論の背景まで読むと、何となく開示のイメージも湧いてきたような気がします。一般企業の有価証券報告書においては、ここまでの開示は求められてはいないと考えられるため、何を開示するのかという点についての議論が必要なのかもしれません。IAS第1号では、この資本の開示に関する開示例がありますので、次回はこの開示例を少し読んでみたいと思います。

(次回に続く)

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時価会計と「みなし」損益

5月7日の日本経済新聞夕刊のニュースの理由という記事の中で、時価会計と「みなし」損益というテーマが取り上げられていました。

米国会計基準を適用している金融機関などにおいて、保有している金融商品の時価(公正価値)評価による評価損を多額に計上する一方で、発行している債券の価値が目減りしているとして「負債の評価益」を計上しているケースが見受けられるとの指摘です。

金融商品の会計基準についてはかなり複雑になってきており、詳しいことは理解できていないのですが、この「負債の評価益」が計上される根拠を記事では次のように説明しています。

ある会社の社債(額面100)の社債が流通市場で80になっていたとします。この時、発行企業が流通市場を通じて社債の買い戻しを行った場合、満期時点において100の償還が必要だったものが80の資金拠出で返済できたことになります。そこで、差額の20を利益として認識できるという理屈になるわけです。

しかし、記事では、この評価損益のことを常識ではピンとこない「みなし」損益であるとし、このような公正価値評価部分が広がることで企業の決算内容が分かりにくくなっているとの警戒感があることを指摘しています。

私は、この記事を読んだ時にあることを思いました。この記事では、公正価値評価による評価損益のことを「みなし」損益であると指摘されていますが、なぜ「みなし」という言葉を使ったのでしょうか? 「みなす」という言葉には、本来あるべき姿が存在し、それと同等のものであると考える(=みなす)という意味があるように思います。では、本来あるべき姿とは一体どのようなものなのでしょうか?

この記事全体から受ける印象としては、損益のあるべき姿とは、「資金(キャッシュ)の裏付け」があることという考え方があるように感じました。ASBJが公表している財務会計の概念フレームワーク(討議資料)の言葉を借りるならば、「投資のリスクからの解放」という
ことになるのではないでしょうか。少なくとも、これまでの日本の会計ではこのような考え方は中心的であったと思いますし、一般常識の立場で考えても「儲けた」とか「損をした」という判断基準の基礎にはこのような考え方があるように思います。

まったくの私見ですが、この資産負債の評価損益は決して「みなし」損益ではないという考え方もあろうかと思います。財務諸表に求める最も重要な機能として、企業が生み出す将来キャッシュ・フローの予測に役立つ情報の開示が求められた結果、資産負債が将来においていくらの資金に変わるのかという情報が重視されるようになりました。それ故に、資金を生み出さないものは損失となり、資金を流出させないものは収益となるという基本的な考え方が国際的な会計基準では導入されています。資産負債の評価が将来キャッシュ・フローの生成と密接な関連をもった結果、資産負債の評価を行うに際して、将来に対するある一定の前提条件が必要になっているという点に注目すべきではないかと思います。

先程の例で言えば、

・社債の所有者が社債の発行者に対して80で取引を行うかどうかという点は誰にも分からない
 → だから「みなし」損益だ

・80で社債の取引を行うことは可能であり、その取引が行われた場合には、20の損失が所有者側で発生し20の収益が発行者側で発生する
 → 将来キャッシュ・フローに影響を与えるのだから損益だ

というところでしょうか?

記事では、このような評価損益が多数計上されることによって、財務諸表利用者が企業の財務内容を理解することが難しくなっている点を指摘し、今後の時価会計を考える上での重要な視点であると結論付けています。しかし、このような評価損益を計上することは、企業が抱えるリスクを早期に開示しているという面も忘れてはならないと思います。バブル経済崩壊後の何年間かにおいて、その含み損失を開示せず、日本企業の財務諸表が国際的な信頼性を失ったという事実を忘れてはならないと思います。

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IAS第1号「財務諸表の表示」(その19)

第125項~第133項には見積りの不確実性に関する情報源(Sources of estimation uncertainty)に関する記述があります。

第125項では、企業は将来に対して行った仮定に関する情報及び翌期中に資産や負債の帳簿価額に重要な修正を引き起こすようなリスクを有する期末での見積りの不確実性に関する主要な情報源を開示することが求められます。そのような資産及び負債については、注記においてその性質及び期末における帳簿価額についての詳細な情報を開示することが求められます。

いくつかの資産や負債の帳簿価額の決定にあたっては、期末時点でその資産や負債に生じる不確実な将来の事象の影響を見積もることが求められます。例えば、直近で観測された市場価格がない場合には、有形固定資産の回収可能金額、棚卸資産の技術的な陳腐化の影響、進行中の訴訟に関する将来費用の引当、年金債務のような長期的な従業員給付債務といったものを測定する際に将来志向の見積り(評価)を必要とします。そして、これらの見積りは、キャッシュ・フローや割引率のリスク調整、将来の給与の変動、他のコストに影響を与えるような将来の価格変動といったような項目についての仮定が含まれることとなります。(第126項)

第125項に従い開示された仮定及び見積りの不確実性に関する情報源は、経営者の最も困難で主観的かつ複雑な判断を必要する見積りと関連しています。不確実性に対して将来起こりうる決断に影響を与える変数や仮定の数が増えるにつれて、それらの判断はより主観的かつ複雑になり、それにつれて資産や負債の帳簿価額の重要な修正の可能性も通常は増えていくこととなります。(第127項)

もし、期末において資産及び負債が直近で観測された市場価格に基づく公正価値で測定されていたならば、翌期中にその帳簿価額に重要な変動が起こるかもしれないという重大なリスクを有する資産や負債に対する第125項の開示は求められません。そのような公正価値は翌期中に著しく変動するかもしれませんが、その変動は期末時点における仮定や見積りの不確実性に関する情報源から引き起こされたものではないと考えられるでしょう。(第128項)

企業は、財務諸表利用者が経営者が将来について行った判断や見積りの不確実性に関する情報源について理解することができるような方法で、第125項の開示を行うことが求められます。提供される情報の性質や範囲は、仮定やその他の環境の性質によって異なってきます。企業に求められる開示の例としては、以下のようなものが挙げられます。(第129項)

・仮定またはその他の見積りの不確実性の性質

・帳簿価額のその計算の基礎をなす方法・仮定・見積りに対する感応度。その感応度の理由も含めて。

・影響を与える資産や負債の帳簿価額について、翌期中に期待される不確実性の解決や合理的に起こりうる結果

・もし不確実性が解消されずに残ったままの場合に、資産や負債に対する過去の仮定に対して生じた変化の説明

期末において、仮定や見積りの不確実性に関する情報源が影響を及ぼす可能性の範囲を開示することが実行不可能な場合が考えられます。そのような場合、企業は翌期において仮定とは異なる結果が影響をうける資産や負債の帳簿金額に重大な修正を必要とすることが現存する知識を基礎として合理的に起こり得るということを開示することが求められます。また、すべての場合において、企業は仮定によって影響を受ける特定の資産や負債の性質及び帳簿価額を開示することが求められます。(第131項)

他のIFRSにおいて、第125項は別の形でいくつかの仮定の開示を要求しているケースがあります。(第133項)

IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」
特定の環境下においては、引当金の分類に影響を与えるような将来の事象に関連する主な仮定の開示が求められます。

IFRS第7号「金融商品:開示」
公正価値で評価された金融資産及び金融負債の公正価値を見積もる際に企業が使用した重要な仮定の開示が求められます。

IAS第16号「有形固定資産」
再評価された有形固定資産の各項目の公正価値を見積もる際に企業が使用した重要な仮定の開示が求められます。

この情報開示は、予算情報や将来予測に関する情報の開示を求められているわけではなく(第130項)、また、第122項の経営者が企業の会計方針を適用する過程で行った特定の判断の開示とも関連がない(第132項)という点にも留意が必要です。

(次回に続く)

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