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2011年11月 7日 (月)

過年度遡及修正を行った場合の税務上の取扱い(その2)

去る10月20日、国税庁より公表された「法人が「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」を適用した場合の税務処理について」からです。

国税庁のホームページはこちら

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/111020/index.htm

☆会計方針の変更を行った場合

(ケース2)売上高の計上基準の変更

このケースも、前回の棚卸資産の評価方法と考え方は同じとなります。

①出荷基準→検収基準

例えば、この変更により、前期に計上されていた売上高30(対応する原価20)は、当期に計上すべきものであると判断されたケースを考えてみます。

①別表5(1)の繰越損益金を前期末よりも10減らす。

→前期の確定決算に含まれている利益10は、実は当期に計上すべきものであったということで修正します。

②別表5(1)に新たに項目を作る。期首の金額は以下の通りとなる。

 売掛金(過年度遡及) 30  棚卸資産(過年度遡及) △20

→①の修正により、前期末と当期首の税務上の利益積立金が一致しなくなるため、上記のような項目を用いて調整します。

③②の調整項目については、当期の別表4において加算及び減算の調整を行う。

 (加算)原価過大計上(過年度遡及) 20

 (減算)売上過大計上(過年度遡及) 30

→過年度遡及修正により、当期の売上高及び原価とされた部分については、税務上前期に課税済みであり、当期において二重課税を排除するための調整が行われます。「過大計上」というのは、税務の立場から見て過大になっているという意味でしょう。

②検収基準→出荷基準

例えば、この変更により、検収基準では当期に計上されるはずだった売上高30(対応する原価20)は、出荷基準では前期に計上すべきものであったと判断されたケースを考えてみます。

①別表5(1)の繰越損益金の期首残高を前期末よりも10増やす。

→過年度遡及修正により、前期の利益は確定決算の数値よりも10増えるはずだったということで修正します。

②別表5(1)に新たに項目を作る。期首の金額は以下の通りとなる。

 売掛金(過年度遡及) △30  棚卸資産(過年度遡及) 20

→①の修正により、前期末と当期首の税務上の利益積立金が一致しなくなるため、上記のような項目を用いて調整します。

③②の調整項目については、当期の別表4において加算及び減算の調整を行う。

 (加算)売上計上漏れ(過年度遡及) 30

 (減算)原価認容(過年度遡及) 20

→過年度遡及修正により、前期の売上高及び原価とされた部分については、課税が終わっていません。そこで、当期において課税するための調整が行われます。「計上漏れ」というのは、税務の立場から見て売上が計上されていないという意味でしょうし、「原価認容」というのは、当期の決算書上売上原価に含まれていないものを原価として認めるという意味でしょう。

会計上、過年度遡及修正が行われたとしても、前期末の確定決算数値や税務上の利益積立金を修正するわけではないという点を押さえておけば、正しい申告は可能だと思いますが、申告書の記載方法に1つ工夫が必要なようですので、参考にしていただければと思います。

(次回につづく)

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