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2015年8月26日 (水)

国際税務の世界で話題になっているBEPSとは?

最近、新聞等でBEPSという言葉を目にしませんか? 今日は、税務の世界では重要なキーワードになりつつあるこの言葉についてまとめてみたいと思います。

1.BEPSとは何か?

BEPS
の正式な名称は「Bace Erosion and Profit Shifting」で、日本語訳は「税源浸食と利益移転」となっています。欧米の企業が様々なスキーム(手法)を用いて、法人税の負担を不当に引き下げているのではないかというような記事を新聞等で目にされた方もいらっしゃると思いますが、それがBEPSという問題なのです。

2.BEPSが生じる理由とは?

では、なぜBEPSという問題が生じるのでしょうか。1つは、国ごとに課税ルールが異なっているという問題です。単純な例ですが、国によって税率が異なる(中には法人税のない国もあります)ために、企業はできるだけ税率の低い国に所得が集まるようなスキームを組もうとするのです。

もう1つは、課税ルールが事業環境の変化に対応できていないという問題です。有名な例としてインターネットショッピングの課税という問題があります。私もアメリカの有名なインターネットショッピング会社を利用しますが、では、私がそれを利用したことによる収益はどの国で課税されるのでしょうか? アメリカでしょうか? 日本でしょうか? それとも別の国でしょうか? というような問題です。

3.BEPSを解決するために

このように、BEPSの問題は1つの国が対処しようとしても解決しない問題であることが分かります。そこで、OECD(経済開発協力機構)が中心となって、2013
7月にBEPS行動計画というものを策定し、これらの問題を解決すべく議論を行っていくことにしました。

BEPS
行動計画においては、各国税制の一貫性を確保することが必要(Coherence)、経済実態に合わせた課税が必要(Substance)、透明性の確保が必要(Transparency)という3つの基本方針を定めた上で15のテーマについて検討することになりました。20149月には、第一弾の成果物(報告書)が公表され、この秋にも第二弾が公表されると言われています。


4.BEPS行動計画で取り上げられているテーマ

BEPS
行動計画において定められた15のテーマは以下の通りです。

行動計画1)電子経済の課税上の課題への対応

(行動計画2)ハイブリッドミスマッチ取決めの効果の無効化

(行動計画3)外国子会社合算税制(CFC税制)の強化

(行動計画4)利子等の損金算入を通じた税源浸食の制限

(行動計画5)透明性・実質性を考慮した有害税制への対応

(行動計画6)条約の濫用防止

(行動計画7)恒久的施設(PE)の人為的回避の防止

(行動計画8)無形資産に係る移転価格ルールの策定

(行動計画9)リスクの移転又は資本の配分に係る移転価格ルールの策定

(行動計画10)租税回避の可能性が高い取引に係る移転価格ルールの策定

(行動計画11BEPSのデータを収集・分析する方法等

(行動計画12)濫用的なタックス・プランニングの取決めの開示要求

(行動計画13)移転価格関連の文書化及び国別報告書に係るガイダンス

(行動計画14)相互協議の効果的実施

(行動計画15)多国間協定

どんな議論なのかイメージが湧いてきそうなものもあれば、「ハイブリッドミスマッチ」なんて、さっぱり何のことだか分からないものもありますね(苦笑)

ですが、BEPSの問題を解決するためには、これらの議論の結果(報告書で提言された内容)が各国の税制(税法)に反映されていくことが重要であり、日本も例外ではありません。(既に、これまでの税制改正で影響を受けているものもあるそうです。)

そこで、次回から数回にわたって、このBEPS行動計画でどのような議論が行われているのかということについて、少し整理してみたいと思います。

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