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2016年6月21日 (火)

ASBJ 平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱いを公表

企業会計基準委員会(ASBJ)は、6月17日、実務対応報告第32号「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」を公表しました。

これは、平成28年度税制改正において建物附属設備及び構築物の法人税法上の減価償却方法について定率法が廃止され定額法のみとなったことに対応して、会計上の取扱いを示したものとなっています。

以下の要件を満たす会計方針の変更については、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うこととされています。(第2項)

①従来、法人税法に規定する普通償却限度相当額を減価償却費として処理しており、建物附属設備・構築物(またはその両方)に係る減価償却方法として定率法を採用していること

平成28年4月1日以後に取得する当該すべての資産に係る減価償却方法として定額法に変更すること

この場合には、法人税法の改正に伴い実務対応報告第32号を適用し、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物について減価償却方法を定率法から定額法に変更している旨と会計方針の変更による当期への影響額を記載することとされています。(第4項)

上記以外の減価償却方法の変更については、正当な理由に基づき自発的に行う会計方針の変更として取り扱うこととされています。(第3項)

本来、法令等の改正が会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当するのは、法令等によって会計処理の原則及び手続が定められている場合であり、原則的には、税法の改正によって償却限度額の算定方法が変更されたことだけでは、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更には該当しないと考えられます。(第14項)

しかし、いわゆる税法基準がこれまでも会計上広く容認されてきた経緯等を踏まえ、一定の条件を満たす減価償却方法の変更については、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うことを妨げないこととされています。

なお、平成28年4月1日以後に建物附属設備または構築物を取得したかどうかにかかわらず、平成28年度税制改正に合わせて、これらの減価償却方法を定額法に変更する場合に、法令等の改正に準じたものとして会計基準等の改正に伴う会計方針として取り扱うことが意図されていることに留意が必要です。(第17項)

過年度遡及基準において、減価償却方法の変更の場合には、会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区別することが困難な場合に該当するため、一定の事項を注記することが求められていますが、この実務対応報告によって、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う場合には、前提が異なっているため、注記事項が別途定められることとなりました。また、建物附属設備または構築物を取得していない場合にも所定の注記事項が必要となることに留意が必要です。(第18項)

この実務対応報告は、公表日後最初に終了する事業年度のみに適用することとされています。ただし、4月決算及び5月決算会社のように、公表日前に事業年度が終了している場合には、当該事業年度にこの実務対応報告を適用することができるとされています。(第5項)

今後も税制改正によって会計上の減価償却方法の取扱いが影響を受ける可能性があるため、減価償却に関する会計基準の開発を行い、いわゆる税法基準を利用することも含め、あるべき会計処理を検討する必要があると考えられますが、法人税法における損金経理要件の問題や減価償却方法が業績に与える影響の重要性を鑑みると、会計基準の開発に着手することの合意形成を図るには、まだ時間が必要とのことです。(第13項及び第14項)

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