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2016年7月25日 (月)

移転価格税制に係る文書化制度の改正⑤

今回は、まず国別報告事項(CbCレポート)の概要について確認していきましょう。

提供義務者となるのは、どの法人か?

特定多国籍企業グループの構成会社等が内国法人または国内に恒久的施設(PE)を有する外国法人であるケースとして、以下の5つが考えられます。(PEとは、国内にPEを有する外国法人を指します。)

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                           (出典)国税庁 移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし

国別報告事項については、原則として①の会社が提出を求められます。②及び③については提出義務はありません。④及び⑤については、少し注意が必要です。

  原則:提供する必要はありません。(条約方式)
  例外:最終親会社等の居住地国の税務当局が国別報告事項に相当する情報を日本の税務当局に提供できない認められる場合には、それぞれの会社等が提供するか、一の特定多国籍企業グループの構成会社等の中で代表1社が提供する必要があります。(子会社方式)

また、提供方法が国税電子申告・納税システム(e-Tax)によることとされている点も留意が必要です。

国別報告事項(CbCレポート)に記載される事項

国別報告事項に記載されるものは以下の通りとなっています。

企業グループの構成会社等の事業が行われている国・地域ごとの
 ・構成会社等の名称及び主たる事業の内容
 ・収入金額
 ・税引前当期利益の額
 ・納付税額
 ・発生税額
 ・資本金(出資金)の額
 ・利益剰余金の額
 ・従業員の数
 ・有形資産(現金及び現金同等物を除く)の額

また、使用言語が英語とされていますので、その点も留意が必要です。

最終親会社届出事項、事業概況報告事項、国別報告事項の報告様式については、国税庁のホームページで公表されています。(ちょっと場所が分かりにくいので、是非このリンクをご活用ください。)
また、PDFファイルの形で提供されていますが、国別報告事項については、XMLまたはCSVの形式により提出する必要があるとされていますので、留意が必要です。

最後に、もう一度、この新しい報告制度に、いつまでに対応しなければいけないのかを整理しておきましょう。

独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類【改正】
 →同時文書化義務が課される場合、平成29年4月1日以後に開始する事業年度の確定申告書の提出期限までに書類を用意する必要がある。
 ※3月決算会社の場合、平成30年5~7月頃までに用意する必要がある。

最終親会社等届出事項【新設】
 →平成28年4月1日以後に開始する最終親会計年度の終了の日までに報告する必要がある。
 ※3月決算会社の場合、平成29年3月末までに報告する必要がある。

事業概況報告事項【新設】
 →平成28年4月1日以後に開始する最終親会計年度の終了の日の翌日から1年以内に報告する必要がある。
 ※3月決算会社の場合、平成30年3月末までに報告する必要がある。

国別事業報告事項【新設】
→平成28年4月1日以後に開始する最終親会計年度の終了の日の翌日から1年以内に報告する必要がある。
 ※3月決算会社の場合、平成30年3月末までに報告する必要がある。

3月決算会社の場合、大体のものは約2年後をターゲットに準備すればいいということになりますが、かなり手間のかかる内容でもあり、早めの対応が肝要ではないかと思われます。
また、最終親会社等届出事項は、来年の3月末までの報告が必要となりますので、漏れがないようにご留意ください。(おわり)

<参考資料>
国税庁 移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/h28iten-kakaku.pdf

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