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2016年7月11日 (月)

移転価格税制に係る文章化制度の改正③

直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上の多国籍企業グループ(「特定多国籍企業グループ」といいます)の構成会社等である内国法人及び国内に恒久的施設(PE)を有する外国法人は、以下の3つの文書を国税電子申告・納税システム(e-Tax)で提供しなければならないこととされました。

①最終親会社等届出事項
 →最終親会社等に関する情報
②事業概況別報告事項(マスターファイル)
 →グループの活動の全体像に関する情報
③国別報告事項(CbCレポート)
 →国別の活動状況に関する情報

特定多国籍企業グループとはどのような企業グループなのか?

①企業グループとは?

一言で言うと「連結財務諸表が作成される企業集団」ということになりますが、この制度の適用においては、「もし上場したならば連結財務諸表が作成される場合」も含まれる(非上場の企業グループも適用対象となる)ことに留意が必要です。
また、いわゆる孫会社等が存在することにより、いくつかの階層で企業グループが形成されるケースが考えられますが、その場合は最終(究極)親会社を頂点する企業集団のみが企業グループに該当するとされています。以下の【図1】及び【図2】において、制度の適用があるのは企業集団AとDとなります。

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                           (出典)国税庁 移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし

②多国籍企業グループとは?

これには、2つのケースが考えられます。

・企業グループの構成会社等の居住地国が2以上あるもの(下図、【図1】のケース)
・企業グループの構成会社等の居住地国は同一であるが、その構成会社の中に当該居住地国以外の国または地域に恒久的施設が存在し、その恒久的施設を通じて行われる事業から生じる所得に対し、当該国または地域において課される法人税当があるもの(下図、【図2】のケース)

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                           (出典)国税庁 移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし

③構成会社等とは?

構成会社等については、連結範囲に含められている会社等だけではなく、重要性を理由として連結範囲から除外されている 会社等(いわゆる非連結子会社)も含まれるとされています。一方で、関連会社については、たとえ持分法適用会社であっても、構成会社等の範囲には含めない こととされていますので、留意が必要です。

④連結総収入金額1,000億円以上とは?

連結総収入金額には、売上高だけでなく、その他の収益の金額も含まれるものとされています。また、非上場会社のように連結財務諸表を実際に作成していない場合は、その金額に相当する金額とされています。


実際に報告(届出)事項の提供義務者となるのは、どの法人か?

特定多国籍企業グループの構成会社等が内国法人または国内に恒久的施設(PE)を有する外国法人である場合に提供義務が生じることとなりますが、想定されるケースとして、以下の5つが考えられます。(PEとは、国内にPEを有する外国法人を指します。)

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                           (出典)国税庁 移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし

3つの報告(届出)事項について、それぞれのケースでどのような取扱いとなるのかをまとめると、以下の通りとなります。

<最終親会社等届出事項及び事業概況報告事項>
 原則:①から⑤まですべて提供する必要があります。
 特例:グループの構成会社等の中で代表1社が提供することが認められています。

<国別報告事項>
 ①は提供する必要があり、②及び③は提供する必要はありません。
 ④及び⑤のケースでは、以下のように取り扱われます。
  原則:提供する必要はありません。(条約方式)
  例外:最終親会社等の居住地国の税務当局が国別報告事項に相当する情報を日本の税務当局に提供できない認められる場合には、それぞれの会社等が提供するか、一の特定多国籍企業グループの構成会社等の中で代表1社が提供する必要があります。(子会社方式)

このブログの読者の方は、①の会社等に所属されているケースが多いかと思いますが、②~⑤のケース(子会社に該当するケース)でも、提出義務のある事項もありますので、十分留意が必要です。(つづく)

<参考資料>
国税庁 移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/h28iten-kakaku.pdf

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