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2016年7月19日 (火)

移転価格税制に係る文書化制度の改正④

今回と次回に分けて、具体的にどのような情報を提供することが求められるのかを確認していくことにしましょう。今回は、最終親会社等届出事項と事業概況報告事項(マスターファイル)です。

提供義務者となるのは、どの法人か?

特定多国籍企業グループの構成会社等が内国法人または国内に恒久的施設(PE)を有する外国法人であるケースとして、以下の5つが考えられます。(PEとは、国内にPEを有する外国法人を指します。)

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                           (出典)国税庁 移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし

最終親会社等届出事項及び事業概況報告事項については、原則として①から⑤まですべての会社等が提供する必要がありますが、特例としてグループの構成会社等の中で代表1社が提供することも認められています。また、提供方法が国税電子申告・納税システム(e-Tax)によることとされている点も留意が必要です。

最終親会社等届出事項

最終親会社等届出事項として提供される情報は以下の通りとなっています。

最終親会社等の
 ・名称
 ・本店または主たる事務所の所在地
 ・法人番号
 ・代表者の氏名

内容的には、それほど複雑なものではありませんね。もし、グループの中で代表1社が提供する場合は、

代表として提供する法人の
 名称、本店等所在地、法人番号、代表者の氏名等
代表として提供する法人以外の
 名称、本店等所在地、法人番号、代表者の氏名等

を同様にe-Taxで提供することが求められます。適用開始が平成28年4月1日以後に開始する最終親会計年度とされており、提出期限は、最終親会社の会計年度終了の日までとされていることから、最初の提出は平成29年3月末が目途となります。この点、他の2つの報告事項よりも提出期限が早くなっているため、留意が必要です。

事業概況報告事項(マスターファイル)

事業概況報告事項(マスターファイル)として提供される情報は、「特定多国籍グループの組織構造、事業の概要、財務状況」とされており、具体的には租税特別措置法施行規則第22条の10の5①に示されていますが、要約してみたいと思います。

・構成会社等の名称、本店等所在地、関係を系統的に示した図

・事業等の概況
 構成会社等の売上など収益の重要な源泉
 主要な5種類の製商品等に係るサプライ・チェーン及び地理的な市場の概要
 グループ全体の売上等のうち5%を超える製商品等に係るサプライ・チェーン及び地理的な市場の概要
 構成会社間での役務提供に関する重要な取り決めの一覧表及びその概要
  (対価の額の設定方針、費用の負担方針、役務提供が行われる主要な拠点など)
 各構成会社等が付加価値の創出において果たす機能、負担する重要なリスク、使用する重要な資産など
 事業上の重要な合併、分割、事業譲渡等の概要

・無形固定資産などの無形資産の研究開発、所有及び使用に関する包括的な戦略

・研究開発の用に供する主要な施設及び当該研究開発を管理する場所の所在地

・構成会社間での取引において使用される重要な無形資産及びそれを所有する構成会社等の一覧表

・無形資産の研究開発に要する費用の額の負担、当該研究開発に係る役務提供、当該無形資産の使用許諾などの取り決めの一覧表

・構成会社間での研究開発及び無形資産に関連する取引に係る対価の額の設定方針

・構成会社間で行われた重要な無形固定資産の移転に関する概要
 (関係した構成会社等の名称、本店等所在地、移転した無形資産の内容、対価の額など)

・各構成会社等の資金調達方法の概要

・グループの中において中心的な金融機能を果たすものの名称、本店等所在地

・構成会社間で行われる資金の貸借に係る対価の額の設定方針

・連結財務諸表に記載された損益及び財産の状況(連結財務諸表がない場合には、当該グループの財産及び損益の状況を明らかにした書類)

・居住地国が異なる構成会社間での取引に係る対価の額の算定方法や構成会社間での所得の配分に関する事項について、一の構成会社等の居住地国の権限ある当局のみによる確認がある場合は、その確認の概要

こちらは、内容が大変複雑になっており、事前に相当の準備が必要なように思われます。適用開始が平成28年4月1日以後に開始する最終親会計年度からとなっており、提出期限は最終親会計年度の終了の日から1年以内とされているため、3月決算会社の場合、平成30年3月末が最初の提出の目処となります。
また、グループの中で代表1社が提出することも認められていますが、その場合の取扱いは最終親会社等届出事項の場合と同じです。(つづく)

<参考資料>
国税庁 移転価格税制に係る文書化制度に関する改正のあらまし
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/h28iten-kakaku.pdf

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