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2017年4月10日 (月)

ASBJ マイナス金利の取扱いに関する実務対応報告を公表

企業会計基準委員会(ASBJ)は、3月29日、「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」(実務対応報告第34号)を公表しました。

退職給付債務等の計算において、割引率の基礎となる安全性の高い債券の支払見込期間における利回りがマイナスとなる場合、以下のいずれかの方法によることとされています。

 ① 利回りの下限としてゼロを利用する方法

 ② マイナスの利回りをそのまま利用する方法

実務指針第11項によれば、退職給付会計基準において、割引率は金銭的時間価値のみを反映させるべきであり、すなわち信用リスクフリーレートに近い期末における安全性の高い債券の利回りを用いるとされています。

金銭的時間価値のみが反映された信用リスクフリーレートとは、一般的に、信用リスクが存在しない状態で時の経過に応じて価値が増えるレートを反映するものであると考えられるため、この信用リスクフリーレートについて、マイナス金利の状況下においてどのように考えるべきか整理が必要とされています。

この点については、以下の2つの意見があるようです。

・信用リスクが存在しない状態においても、将来の価値が現在の価値よりも低くなると市場が評価しており、金銭的時価価値は時の経過に応じて減少する、すなわち信用リスクフリーレートはマイナスになり得る。

・現金を保有することによって現在の価値を維持することができるため、金銭的時間価値は時の経過に応じて減少することはない、すなわち信用リスクフリーレートの下限はゼロになる。

また、実務指針第12項及び第13項では、

・年金資産は時価評価が求められており、この時価もマイナス金利の影響を受けている中で、退職給付債務(割引率)にもマイナス金利の影響を反映させるべきかどうか。

・マイナス金利の影響を退職給付債務の算定に織り込んだ場合、現時点における負債(債務)の金額が将来の見積支払総額を超える場合の取扱いはどうなるのか。(そうなるのは、論理矛盾のような気もしますね。)

というような論点も指摘されています。

退職給付債務等の計算は、財務諸表に与える影響が大きく、この論点について早急に取扱いを示すべきという実務上の要請がある一方で、国際的にもマイナス金利の取扱いについての統一的な見解が定まっておらず、また、現時点におけるマイナスの利回りの幅が大きくないことを踏まえ、冒頭に示したいずれの方法も認めるという取扱いとなったようです。

なお、適用時期は、平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月31日に終了する事業年度とされており、その後の取扱いについては、引き続き検討が行われることとされています。

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