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2017年7月21日 (金)

ASBJ 収益認識に関する会計基準の公開草案を公表

企業会計基準委員会(ASBJ)は、7月20日、「収益認識に関する会計基準(案)」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」を公表しました。

ご承知の方も多いと思いますが、国際会計基準委員会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、共同で収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行い、間もなく適用が開始される予定となっています。
これを受け、ASBJにおいて日本の収益認識に関する包括的な会計基準の開発に向けた検討が行われ、今回の公開草案の公表に至っています。

1.開発にあたっての基本的な方針

収益認識に関する会計基準の開発にあたっては、IFRS第15号(顧客との契約から生じる収益)の基本的な原則を取り入れることを出発点としつつ、日本の実務に配慮すべき項目がある場合には、IFRS等との比較可能性を損なわない範囲で代替的な取扱いを追加することとしています。
また、連結財務諸表と個別財務諸表においては、同一の会計処理を定める(連単分離はしない)こととしています。

2.会計処理の考え方

IFRS第15号の概要については、このブログでも触れさせて頂いていますので参照して頂ければと思いますが、今回公表された公開草案も同じ考え方を基礎としています。

基本となる原則
約束した財・サービスの顧客への移転を、当該財・サービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益の認識を行う。

基本となる原則に従って収益を認識するための5つのステップ
 ① 顧客との契約を識別する。
 ② 契約における履行義務を認識する。
 ③ 取引価格を算定する。
 ④ 契約における履行義務に取引価格を配分する。
 ⑤  履行義務を充足した時にまたは充足するにつれて収益を認識する。

3.特定の状況または取引における取扱い

以下の11項目については、適用指針(案)の中で、より具体的な取扱いが示されています。

① 財・サービスに対する保証
② 本人と代理人の区分
③ 追加の財・サービスを取得するオプションの付与
④ 顧客により行使されない権利(非行使部分)
⑤ 返金が不要な契約における取引開始日の顧客からの支払
⑥ ライセンスの供与
⑦ 買戻契約
⑧ 委託販売契約
⑨ 請求済未出荷契約
⑩ 顧客による検収
⑪ 返品権付きの販売

4.代替的な取扱い

「1.開発にあたっての基本的な方針」のところで述べたように、日本の実務に配慮すべき項目がある場合には、IFRS等との比較可能性を損なわない範囲で代替的な取扱いが追加されており、適用指針(案)の中で示されています。

①契約変更
 ・重要性が乏しい場合の取扱い

②履行義務の識別
 ・顧客との契約の観点で重要性が乏しい場合の取扱い
 ・出荷及び配送活動に関する会計処理の選択

③一定の期間にわたり充足される履行義務
 ・期間がごく短い工事契約及び受注制作のソフトウェア
 ・船舶による運送サービス

④一時点で充足される履行義務
 ・出荷基準等の取扱い

⑤履行義務の充足に係る進捗度
 ・契約の初期段階における原価回収基準の取扱い

⑥履行義務への取引価格の配分
 ・重要性が乏しい財・サービスに対する残余アプローチの使用

⑦契約の結合、履行義務の識別及び独立販売価格に基づく取引価格の配分
 ・契約に基づく収益認識の単位及び取引価格の配分
 ・工事契約及び受注制作のソフトウェアの収益認識の単位

また、これまで日本基準で定められていたか実務の取扱いとして行われていた以下の会計処理は、今回の公開草案によると認められなくなります。

・顧客に付与するポイントについての引当金処理
・返品調整引当金の計上
・割賦販売における割賦基準に基づく収益計上

5.表示及び開示

IFRS第15号では、企業の履行と顧客の支払との関係に基づき、契約資産、契約負債または債権を適切な科目をもって貸借対照表に表示することとされていますが、経過措置として、契約資産と債権を区分表示しないことを認める提案がなされています。

注記事項については、「企業の主要な事業における主な履行義務の内容及び企業が履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)」を注記することが提案されています。

一方で、IFRS第15号に定められている注記事項については有用性とコストの評価を十分に行うことができないため、必要最低限の定めを除き、注記事項は定めないこととされています。ただし、会計基準が適用される時点(6.適用時期参照)までに注記事項の定めを検討することとされています。

6.適用時期

強制適用の時期は平成33年4月1日以降開始する事業(連結会計)年度とし、平成30年4月1日以後開始する事業(連結会計)年度及び平成30年12月31日から平成31年3月30日に終了する事業(連結会計)年度の期末から早期適用を認めることが提案されています。

早期適用の時期については、冒頭述べた通り、IFRSや米国基準の適用時期に配慮したものと考えられます。

公開草案においても触れられていますが、収益認識に関する会計処理は日常的な取引に対して行われるものであり、会計基準の適用により従来と収益を認識する時期または金額が大きく異なる場合、企業の経営管理及び業務プロセス(システム対応含む)を変更する必要性が生じる可能性もあり、新しい(改正された)会計基準に対する通常の準備期間よりも長い準備期間が想定されています。企業の経理担当者の皆様におかれては、新しい収益認識基準の影響度(インパクト)をできるだけ早期に分析し、必要な対応策を検討する必要があるものと考えられます。

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