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2017年8月17日 (木)

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の改正①

平成29年度の税制改正において、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の大幅な改正が行われました。海外進出されている企業様にとって、少なからず影響のある改正と思われますので、その内容について一度整理してみたいと思います。

1.外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは?

軽課税国(タックスヘイブン)に子会社等を設立し、この子会社等を利用して税負担を不当に軽減すること(租税回避行為)を抑制するために、一定の条件に該当する子会社の所得を日本の親会社の収益の額とみなして合算し日本で課税する制度

のことです。租税回避行為によってタックスヘイブンに移転された所得を日本で課税してしまおうという制度ですね。

2.これまでの制度の問題点

これまでの制度では、外国子会社合算税制の対象とするかどうかの判定は、基本的に外国子会社の租税負担割合がトリガー税率(20%)以下かどうかで判定することとされていました。

このため、合算課税の対象国が増加する傾向にあったことに加え、経済実体を伴わない所得であるにもかかわらず合算課税の対象外となるケースや、逆に経済実体を伴う所得であるにもかかわらず合算課税されてしまうケースが存在しました。

3.BEPS行動計画と税制改正

以前このブログでもBEPS行動計画について取り上げましたが、そのテーマの1つに外国子会社合算税制(CFC税制)の強化というものがありました。
 ※CFC…Controlled Foreign Company の略

BEPSプロジェクトに参加している国の中には、そもそも外国子会社合算税制を導入していない国や制度を導入していたとしてもBEPSに対応できていないケースもあったため、以下の6つの構成要素に分類して勧告し、効果的な外国子会社合算税制を導入する(制度設計する)ことを促しています。

・CFCの定義
・CFCの適用除外
・CFC所得の定義
・CFC所得の算定ルール
・CFC所得の合算ルール
・二重課税の防止及び解消ルール

今回の税制改正は、この勧告の基本的な考え方を踏まえて見直しが行われています。関心のある方は、このBEPS行動計画の内容も参照して頂くと、今回の改正の趣旨(狙い)が理解しやすくなるかもしれません。

4.改正後の制度概要

(1) 外国関係会社の定義

外国関係会社とは、基本的には(日本)居住者及び内国法人等が直接・間接保有している持分割合の合計が50%超となる外国法人とされていますが、実質支配関係がある場合も含まれることとされています。

(2) 外国関係会社の分類

この外国関係会社は、事業基準・実体基準・管理支配基準・所在地国基準または非関連者基準の4つの経済活動基準(これまでは適用除外要件と呼ばれていたもの)によって、以下の3つに分類されます。

① 特定外国関係会社…実体基準及び管理支配基準のいずれも満たさないもの

② 対象外国関係会社…4つの経済活動基準のうち、いずれか1つを満たさないもの

③ 部分対象外国関係会社…4つの経済活動基準をすべて満たすもの

経済活動基準の内容については、あらためて触れたいと思いますが、この基準を満たすほど経済実体がある会社と考えて頂ければいいのではないかと思います。

(3) 合算課税の取扱い

(2)での分類に従い、合算課税の取扱いは以下の通りとなります。

① 特定外国関係会社の場合
 所在地国の租税負担割合≧30% → 合算課税の対象外
 所在地国の租税負担割合<30% → 会社単位の合算課税

② 対象外国関係会社の場合
 所在地国の租税負担割合≧20% → 合算課税の対象外
 所在地国の租税負担割合<20% → 会社単位の合算課税

③ 部分対象外国関係会社の場合
 所在地国の租税負担割合≧20% → 合算課税の対象外
 所在地国の租税負担割合<20% → 受動的所得の合算課税

今回の改正によって、細かい場合分けが必要になりますので、改正前とは取扱いが大きく異なるケースもあり得そうですね。

なお、この改正は外国関係会社の平成30年4月1日以後開始する事業年度より適用されることとなっています。


【参考資料】
・BEPSと外国子会社合算税制①(下村文男、会計・監査ジャーナル2017年6月号)
・平成29年度法人税関係法令の改正の概要(国税庁)

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