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2017年9月 4日 (月)

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の改正④

改正後の外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)は、以下の通りとなっています。

1.外国関係会社に該当するか?

2.外国関係会社はその経営活動実態によって、3つに分類される。
 ① 特定外国関係会社
 ② 対象外国関係会社
 ③ 部分対象外国関係会社

3.分類された会社ごとに、所在地国の税率に応じて合算課税が行われる。
 ① 特定外国関係会社 30%未満 会社単位での合算課税
 ② 対象外国関係会社 20%未満 会社単位での合算課税
 ③ 部分対象外国関係会社 20%未満 受動的所得の合算課税

最終回の今回は、まず部分対象外国関係会社の合算対象となる「受動的所得」についてまとめてみたいと思います。

☆なぜ受動的所得の合算課税が必要か?

部分対象外国関係会社は、経済活動基準をすべて満たしている外国関係会社であり、言い換えると、活動実態がある会社と言えます。しかし、一定の金融所得や実質的活動がない事業から得られる所得(受動的所得)については、日本の親会社から形式的に外国関係会社へ移転させることによって、租税回避行為が行われる可能性があるため、受動的所得の合算課税という考え方が導入されています。

改正前の外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)においても、適用除外基準(改正後の経済活動基準)を全て満たした外国関係会社については、資産性所得の合算課税という制度がありましたが、今回の改正により、合算課税の対象となる所得の範囲が大幅に拡大したと言われています。

☆合算課税の対象となる受動的所得とは?

合算課税の対象となる受動的所得は「特定所得」と呼ばれ、租税特別措置法第66条の6第6項の各号に規定されています。

一 剰余金の配当等 ○
二 受取利子等 ○
三 有価証券の貸付けの対価 ○
四 有価証券の譲渡損益 ●
五 デリバティブ取引損益 ●
六 外国為替差損益 ●
七 第一号から第六号に類する所得 ●
八 有形固定資産の貸付けの対価 ○
九 無形資産等の使用料 ○
十 無形資産等の譲渡損益 ●
十一 異常所得 ○

なお、これらの所得の計算方法や一定の基準を満たした場合の除外の取扱いについては、細かな規定がありますので、十分留意が必要です。

☆合算課税の対象となる金額は?

先程の表の中で、各所得に○と●のマークが付いていましたが、これには以下のような意味があります。

○…基本的にマイナスの概念がなく単純に合計される所得
●…マイナスになった場合、他の●の所得と損益通算が認められている所得

●の所得を合計(損益通算)した結果がマイナスとなった場合は、当該事業年度の所得はゼロとし、マイナスとなった部分(部分適用対象損失額と呼ばれます)は、その後7年間損失の繰越(●の所得の合計額がプラスとなった事業年度に損失を通算できる)が認められています。

そして、○と●(損益通算・損失の繰越控除考慮後)の合計額が部分適用対象金額と呼ばれます。

なお、この部分適用対象金額が税引前当期純利益の5%以下であるか2,000万円以下である場合には、受動的所得の合算課税は適用免除となります。(勿論、部分対象外国関係会社の所在地国の税率が20%以上の場合も適用免除です。)

この部分適用対象金額に当該部分対象外国会計会社に対する内国法人の持分(正確には、請求権等勘案合算割合といいます)を乗じたものが、部分課税対象金額(合算課税の対象となる金額)になります。

【参考資料】
・BEPSと外国子会社合算税制①(下村文男、会計・監査ジャーナル2017年6月号)
・BEPSと外国子会社合算税制③(下村文男、会計・監査ジャーナル2017年8月号)
・平成29年度法人税関係法令の改正の概要(国税庁)

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