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2017年12月16日 (土)

子会社管理 成功の秘訣は?

12月13日の日本経済新聞朝刊に京都大学の若林直樹教授が書かれた「子会社管理 成功の秘訣は?」という記事が掲載されていましたが、個人的に大変興味のあるテーマでしたので、記事の内容を、私なりの理解も交えてまとめてみました。

○子会社展開は、事業の種類もしくは地域の多角化を進める狙いがある一方で、経営の非効率化とガバナンスの問題を生じさせるため、企業グループ全体の経済価値の低下(これをコングロマリット・ディスカウントという)を起こしやすいと考えられている。

○経営の非効率化の例として、企業が国際的な多角化を進めた結果、異なる経営環境・市場・制度の下で子会社を数多く持ち、経営情報の非対称性(十分な経営情報が親会社に入ってこなくなること)と事業経営の複雑化が進むケースが挙げられる。

○そもそも企業グループの価値低価の問題は、グループ経営の戦略と実践に大きな課題があると考えるべきである。すなわち、親会社は何のために子会社を持ち、どのように企業価値を創造する経営をするのかという議論である。

○親会社は、以下の4つの方法で子会社の意思決定や戦略策定に影響し、企業価値を増大させようとする。

 ① 親会社による事業活動への直接の指導
 ② グループ内の他の子会社等からの影響
 ③ 親会社の本社スタッフやサービスによる支援
 ④ グループの多角化による影響

○一方で、ある研究では、親会社の関与がむしろ子会社にマイナスの影響を与えていることを示し、その(阻害)要因として以下の4つを挙げている。

 ① 親会社が自分の手法や方針を過信して、子会社の状況を無視して一方的に押し付けている
 ② 親会社の示すやり方が子会社の現状とそぐわないため、正当性が低くなり受け入れられない
 ③ 親会社の情報管理能力には限界があるため、子会社の活動を管理しきれない場合がある
 ④ 親会社の研究開発担当の経営幹部が強権性を強めた結果、子会社スタッフの反発を招く

○親会社が子会社に対して適切に関与することは重要であり、親会社が子会社と多面的ネットワークを築いている(子会社の主要な協力企業・顧客・政府・地域経済団体等との関係に親会社が積極的に関与している)場合に、子会社の企業価値を増大させる傾向があることを示している研究もある。

○子会社の管理の巧拙によってコングロマリット・プレミアムに差が出ることを意識する必要性が高まっているが、親会社(本社)が子会社管理において担う業務の量や範囲が広まる一方で、親会社(本社)が子会社に対して与えるサービスや果たすべき役割について明確に設定できていないケースが多い。

いかがでしょうか? 私は連結決算、子会社の内部監査、英文財務書類の翻訳等でグループ経営管理のお手伝いをさせて頂いていますが、親会社(本社)の経営幹部やスタッフの皆さんに子会社の経営実態(経営情報)をいかに分かりやすく伝えるかということを心掛けています。
これからも少しでもグループ全体の企業価値の向上のお役に立てるような情報をお伝えしていきたいと考えています。

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