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2018年2月19日 (月)

ASBJ 「税効果会計に係る会計基準」の一部改正等を公表

2月16日、企業会計基準委員会(ASBJ)は、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号)とそれに関連する以下の適用指針の改正を公表しました。

・税効果会計に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第28号)

・繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)

・中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針(企業会計基準適用指針第29号)

1.主な改正の内容

(1) 個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い

 現行の取扱いでは、個別財務諸表における子会社株式及び関連会社株式に係る一時差異について、一律に繰延税金負債を計上することとされています。
 今回の改正では、連結財務諸表における子会社及び関連会社に係る将来加算一時差異の取扱いに合わせ、以下の2つの要件を満たした場合を除いて、繰延税金負債を計上することとされました。

① 親会社(投資会社)がその投資の売却等を会社自身で決めることができる。
② 予測可能な将来の期間に、その売却を行う意思がない。

(2) 分類1に該当する企業における子会社株式評価損に係る繰延税金資産の回収可能性の取扱い

 現行の取扱いでは、分類1に該当する企業においては、繰延税金資産の全額について回収可能性があるものとされています。
 しかし、完全支配関係がある国内子会社の株式評価損について、当該子会社を清算した場合には法人税法上損金算入が認められない(すなわち永久差異となる)ため、将来において税務上の損金に算入される蓋然性が低いときには、繰延税金資産の回収可能性はないと判断することも考えられることが明確にされました。

(3) 繰延税金資産・負債の表示

 現行の取扱いでは、繰延税金資産・負債は、これらに関連した資産・負債の分類に基づいて流動または固定区分に表示しなければならないとされています。
 今回の改正では、国際会計基準と同様にすべて固定区分に表示することとされています。

(4) 注記事項の追加

 財務諸表の利用者が税効果会計に関連する注記事項を利用する目的、その利用内容、実際に利用している情報を検討した上で、現状において不足していると識別された以下の情報について注記事項を追加することとされました。

① 評価性引当額の内訳に関する情報
・数値情報…発生原因別の注記に税務上の繰越欠損金が記載されており、その金額が重要な場合、発生原因別の注記に記載されている評価性引当額を税務上の繰延欠損金に係る金額と将来減算一時差異等の合計に係る金額とに区分して記載する。
・定性的な情報…評価性引当額(評価額)に重要な変動が生じている場合、当該変動の主な内容を記載する。

② 税務上の繰越欠損金に関する情報
・繰越期限別の数値情報…発生原因別の注記に税務上の繰越欠損金が記載されており、その金額が重要な場合、繰越期限別に以下の金額を記載する。
  税務上の繰越欠損金×税率(発生原因別の注記に記載される額)
  評価性引当額
  繰延税金資産
・定性的な情報…税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由を記載する。

 なお、連結財務諸表を作成している場合には、上記の追加された注記事項のうち、評価性引当額の内訳に関する数値情報のみ個別財務諸表においても記載が求められます。

2.適用時期及び適用初年度に関する取扱い

(1) 適用時期

 すべての取扱いは、平成30年4月1日以後開始する事業年度(連結会計年度)の期首から適用することとされています。
 ただし、「繰延税金資産・負債の表示」及び「注記事項の追加」については、平成30年3月31日以後最初に終了する事業年度(連結会計年度)の期末から適用することが可能です。

(2) 適用初年度に関する取扱い

 「個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い」及び「分類1に該当する企業における子会社株式評価損に係る繰延税金資産の回収可能性の取扱い」の適用があった場合には、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う必要があり、新たな会計方針を過去のすべての期間に遡及適用することとされています。

 一方、「繰延税金資産・負債の表示」及び「注記事項の追加」については、表示方法の変更として取り扱い、比較情報となる過去の財務諸表については新たな表示方法に組み替える必要があります。ただし、「注記事項の追加」については、実務上の負担に配慮し、適用初年度の比較情報には記載しないことも認められています。

 この改正によって、従前、日本会計士協会から公表されていた税効果会計に関する実務指針及びQ&Aは改廃の検討がなされる予定となっています。

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