会計のトピックス

2008年度変わる会計(その2)

2008年4月1日以降開始する事業年度より、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」が適用となります。

従来、在外連結子会社の決算は、原則として日本基準による決算が求められていたものの、実際にはその子会社が所在する国の会計基準に準拠していれば、そのまま受け入れてもよいとする例外規定(いわゆる「現地主義」)が適用されているケースが圧倒的に多かったのではないかと思われます。

実務対応報告第18号の適用により、在外連結子会社の決算は日本基準・国際財務報告基準・米国会計基準のいずれかに準拠して作成することが求められる一方、のれんの償却や退職給付会計における数理計算上の差異の処理など6項目については、連結決算手続において日本基準への修正が求められています。

新聞記事によれば、在外連結子会社が計上している「のれん」の会計処理について、従来は現地主義によって規則償却が行われていなかったものが、今回の実務対応報告の適用により規則償却が求められるようになったために、業績に与える影響が大きい企業も見受けられるようです。(もともと、「のれん」の償却の要否については、会計基準のコンバージェンスの大きなテーマの1つとされており、2011年6月を目処に日本の規則償却が廃止されるのではないかという観測もあります。)

一方、この実務対応報告の適用にあたっては、米国以外の連結在外子会社については従来通り現地主義の決算を行ってもらい、その後、国際財務報告基準を適用した場合の修正仕訳があれば、連結決算手続において加味する手法が多く採用されているようです。

在外連結子会社の決算については、現地の会計事務所(監査法人)への依存度が高いケースも少なくないと思われますが、内部統制の観点からも、修正事項の有無は企業側が積極的に確かめておくべき項目ではないかと考えられます。監査法人によっては、この第1四半期レビューにおいて、実務対応報告第18号の対応を検討している資料の提示を求めているところもあるようで、実務上の混乱がないかどうか懸念されるところです。

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2008年度変わる会計(その1)

これまでは、会計のフレームワークを取り上げたブログをたくさん書いてきましたが、この辺で一段落して、少し会計のトピックスに触れていこうと思います。まず、2008年度の会計基準の改正について触れてみたいと思います。

①四半期決算制度の導入

四半期決算制度については、3月にこのブログでも3回に分けて取り上げましたので、そちらも見ていただければと思います。

この四半期決算制度の導入に関連して1つの論点があります。それは連結子会社の決算期に関する問題です。現状の連結決算のルールにおいては、連結決算日と連結子会社の決算日の差異が3ヶ月以内であれば、そのまま連結することが認められています。(ただし、決算日の差異期間に生じた重要な取引については修正しなければならない点にはご注意ください。)

この4月から施行される四半期決算制度では、期首からの累計損益に加えて、四半期毎の損益の開示が求められています。ここで、決算日に3ヶ月の差異がある連結子会社が含まれていると、その子会社の業績は、3ヶ月古い業績が連結業績に取り込まれることとなり、四半期開示情報の有用性という観点から見直しの余地があるのではないかという指摘があります。

一方で、四半期決算短信は30日以内での開示、四半期報告書は45以内での提出が求められていますが、特に海外子会社の場合は、連結決算日と決算日を一致させると、監査(レビュー)の時間の確保や子会社のマンパワーの問題によってかえって決算発表が遅くなってしまうのではないかという指摘もあります。

また、2010年から導入される新しいセグメント情報の会計基準では、マネジメントアプローチが採用され、セグメント情報で開示される財務情報は基本的に経営者に報告されている情報がそのまま開示されることになることから、この決算期の差異の問題は企業の管理会計(管理情報)のあり方にも影響を与えるのではないかという話も伝わってきます。

新聞の記事によれば、一部の企業では既に子会社の決算期変更が行われているようですが、今後この問題が企業経営にどのような影響を与えるのか注目されるところです。

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討議資料「財務会計の概念フレームワーク」(その8)

またもや少し間が開いてしまいましたが、日本の会計基準のフレームワークを読んでいく第8回(最終回)は資産以外の構成要素の測定を取り上げてみたいと思います。

負債の測定に用いられる数値としては、支払予定額・現金受入額・割引価値・市場価格の4つがあるとされています。

負債の測定に関しては、支払予定額の測定が最もよく利用されるかと思います。現金受入額は例えば前受金の測定に用いられ、財やサービスの引き渡し義務の履行に伴ってその履行に見合う額が収益に振り替えられていきます。割引価値は例えば退職給付引当金を算定するための退職給付債務の計算で用いられますが、フレームワークでは、将来キャッシュ・フローの継続的な見直しの有無と割引率の改定の有無の観点からいくつかのパターンを紹介しています。市場価格は資産の測定のところで述べた内容と同じであり、金融負債の測定(評価)においてしばしば利用されているところです。

収益費用の測定においては、交換・市場価格の変動・契約の部分的な履行・被投資企業の活動成果(収益のみ)・利用の事実(費用のみ)の5つに着目した測定が述べられています。

交換に着目した測定とは、財やサービスを第三者に引き渡すことで獲得した(犠牲にした)対価によって収益(費用)を測定するもので、最も一般的な測定の考え方であると思われます。市場価格の変動に着目した測定とは、その名の通りで、資産や負債の市場価格の変動によって収益費用を測定することを指しています。契約の部分的な履行に着目した測定もその名の通りで、財やサービスを継続的に提供する(提供される)契約が存在する場合に、その一部の履行をもって収益費用を測定することを指しています。被投資企業の活動成果に着目した収益の測定は、持分法をイメージしていただければお分かりいただけると思いますし、利用の事実に着目した費用の測定は、減価償却費をイメージしていただければお分かりいただけるのではないでしょうか。

以上、日本の会計基準のフレームワークを読んできましたが、日本の会計に対する主張が十分盛り込まれた内容になっていたものと考えられます。特に、純利益概念の基礎ともなっている「投資のリスクからの解放」という考え方については、まだまだ研究が必要であると感じられました。また、国際財務報告基準のフレームワークとの比較についても、もう少し研究して、またこのブログで取り上げてみたいと思っています。

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討議資料「財務諸表の概念フレームワーク」(その7)

少し間が開いてしまいましたが、日本の概念フレームワークを読み進めていく第7回目は、財務諸表における測定のお話です。

IFRSのフレームワークでは、財務諸表の構成要素の測定に用いられる基礎として、取得原価・現在原価・実現可能価額・現在価値の4つがあるという旨があっさりと書かれていました。

日本のフレームワークでは、構成要素ごとに測定値の定義・意味が詳しく述べられています。これについては、「財務報告の目的を達成するためには、投資の状況に応じて多様な測定値が求められるため」との記載があります。

資産の測定については、取得原価・市場価格・割引価値・入金予定額・被投資企業の純資産に基づく額の5つが測定値として取り上げられています。

このうち、市場価格については、購買市場と売却市場とが区別される場合とそうでない場合に分類され、区別される場合の測定値として再調達原価と正味実現可能価額が示されています。購入市場と売却市場とが区別されない場合の市場価格は、資産の経済価値を表す代表的な指標の1つではあるものの、経験的な意味を見出すことは困難な指標であるとされています。

また、割引価値についても、将来キャッシュフローを継続的に見積り直すとともに割引率も改訂する場合と将来キャッシュフローのみを継続的に見積り直す場合が示されています。前者には、その資産の利用から得られるキャッシュフローを割引率で割り引いて求める「利用価値」と市場で平均的に予想されているキャッシュフローを市場の平均的な割引率で割り引いて求める「市場価格を推定するための割引価値」の2つが示されています。

入金予定額は貸倒引当金の設定時に用いられるような回収可能見込額のことであり、被投資企業の純資産額に基づく額は投資(有価証券)の評価において用いられることがある測定値です。

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討議資料「財務会計の概念フレームワーク」(その6)

日本の概念フレームワークを読んでいく6回目は、認識の議論です。IFRS及び日本のフレームワークでは認識の時期(タイミング)として、以下の記述があります。

IFRS…関連する将来の経済的便益が企業に流入するか又は企業から流出する可能性が高く、信頼性をもって測定できる原価又は価値を有している。

日本…基礎となる契約を少なくとも一方が履行していることが1つの契機となる。ただし、市場で随時取引できる金融商品のように双方契約未履行の段階でも認識することがある。

両者が大きく異なると考えられるのは、日本のフレームワークが契約の履行に認識の契機を求めている点ではないかと考えられます。ただし、IFRSのフレームワークにおいても、経済的資源の流入(流出)に関する蓋然性や測定の信頼性を確保するためには、利用可能な証拠に基づく必要がある旨が指摘されており、そういった意味では、契約の存在というものを考慮することは決して矛盾するものではないと思われます。

ただ、「財務会計の概念フレームワーク」(その2)のところでも触れたように、財務情報の信頼性の要件として、IFRSは実質優先を挙げており、経済的資源の流入(流出)の蓋然性や測定の信頼性という考え方は、行き過ぎた実態開示を抑制するための概念であると考えられます。これに対し、日本は検証可能性を挙げており、契約を認識の契機として捉えることは、ともすると形式的な判断に陥りがちになるのではないかという懸念があります。同じものを反対方向から見ているだけのような話にも思われますが、概念(キーワード)として何を掲げるかは大きなポイントであるような気がします。

監査の仕事をしていた時にも、基本的に監査上の判断は実質優先で判断するように指導されていましたし、今後実質優先の考え方はますます強まるのではないかと思います。日本のフレームワークがいうところの検証可能性をどのように理解するのか、会計基準を理解する上でも重要なところであると思います。

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討議資料「財務会計の概念フレームワーク」(その5)

前回に引き続き、日本の概念フレームワークの構成要素の定義について、読み進めていきたいと思います。

収益…特定期間の期末までに生じた資産の増加や負債の減少に見合う額のうち投資のリスクから解放された部分であり、純利益または少数株主損益を増加させる。

費用…特定期間の期末までに生じた資産の減少や負債の増加に見合う額のうち投資のリスクから解放された部分であり、純利益または少数株主損益を減少させる。

ここで投資のリスクからの解放とは、企業が投下した資金は将来得られるキャッシュフローが不確実であるというリスクにさらされており、このリスクから解放される(キャッシュフローが発生したり、キャッシュフローがもたらされないことが判断される)ことを意味すると述べられています。

この投資のリスクからの解放というキーワードは、純利益の定義のところでも使われていましたが、これは投資家が「投資にあたって期待された成果に対して、どれだけ実際の成果が得られたのかについての情報」を求めているという考え方に基づいて定義されています。

ここが、IFRSのフレームワークと日本のフレームワークの大きな違いと言えるのではないかと感じます。IFRSのフレームワークでは、将来企業にどれだけのキャッシュ・フローがもたらされるのかという情報を重視する結果、その情報が反映される資産や負債が重視されていると考えられます。一方、日本のフレームワークでは、投資家が投資した資金に対してどれだけ実際の成果が得られたのかという情報を重視する結果、その情報が反映される純利益や収益費用といったものを重視していると考えられます。

実は、私自身は投資家ではない(株式の売買をしない)ので、この論争はどちらが有力なのか判断できない部分があります。このブログを読んでくださっている皆さんのご意見はいかがでしょうか。

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討議資料「財務会計の概念フレームワーク」(その4)

日本の概念フレームワークを読んでいく4回目は、いわゆる純資産の部に関する構成要素の定義について考えてみたいと思います。

IFRSのフレームワークでは、持分の定義がなされ、さらに維持すべき資本(資本維持概念)から利益の計算が導かれるというような構成であったと思われます。

これに対し、日本のフレームワークでは、純資産の構成要素について、様々な定義がなされています。

純資産…資産と負債の差額

株主資本…純資産のうち報告主体の所有者である株主に帰属する部分

個人的な感想ですが、株主資本の定義がIFRSの持分の概念に近いのかなと思ったりしています。

さらに、日本のフレームワークには以下のような定義があります。

包括利益…特定期間における純資産の変動額のうち、報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主及び将来それらになり得るオプションの所有者(新株予約権の所有者?)との直接的な取引によらない部分をいう。

純利益…特定期間における包括利益のうち、その期間中にリスクから解放された投資の成果であって、報告主体の所有者に帰属する部分をいう。

包括利益の中に純利益というもう1つの構成要素を置いているところが大きな特徴かと思われます。結論の背景では、「純利益の概念を排除し、包括利益を代替させようとする動きもみられるが、この概念フレームワークでは、包括利益が純利益に代替し得るものとは考えていない。」と述べられています。この話は有名な話であり、日本の多くの方々が主張されている点であるかと思いますが、その根拠を情報の有用性(必要性)に求めています。

これに対して、IFRSのフレームワークでは、資産・負債がまず定義され、経済的価値の増加(それは資産の増加や負債の減少という形になる)をもたらすものが収益であり、逆のものが費用であると定義付けられています。その結果、持分の増加がもたらされ、そのうち維持すべき資本を除いた部分が利益であるという流れになっています。この流れは、非常に簡潔でよくまとまっているなあという印象です。

いずれにせよ、今後も純利益という構成要素をフレームワークに残すべきか否かの議論は注目していかなければならないところです。

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討議資料「財務会計の概念フレームワーク」(その3)

日本の概念フレームワークを読んでいく3回目は、財務諸表の構成要素です。

IFRSのフレームワークでは、資産・負債・持分・収益・費用の5つが定義されていましたが、日本のフレームワークでは、資産・負債・純資産・株主資本・包括利益・純利益・収益・費用の8つが定義されています。

資産の定義について、比較してみましょう。

IFRS…過去の事象の結果として当該企業が支配し、かつ、将来の経済的便益が当該企業に流入することが期待される資源をいう。

日本…過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源をいう。

日本の定義の中に「将来の経済的便益が当該企業に流入する」という文言が入っていないのが気になりますが、脚注に「支配とは、…(中略)…そこから生み出される便益を享受できる状態をいう。」となっていますので、大きな差異はないものと考えられます。

次は負債の定義について、比較してみましょう。

IFRS…過去の自称から発生した当該企業の現在の債務であり、これを決済することにより経済的便益を包含する資源が当該企業から流出する結果になると予想されるものをいう。

日本…過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務、またはその同等物をいう。

IFRSの負債の定義では、法律上の義務のみならず、通常の取引慣行から生じる債務をも負債に含まれると述べられていました。日本でも、義務の同等物が含まれるとなっていますが、法律上の義務に準じるものが含まれるとなっているので、若干範囲が異なっているようにも感じられます。

(筆者注)

日本のフレームワークの中に、「構成要素に定義を与えるといっても、それらは別の抽象概念に依存することになる。…(中略)… 構成要素の定義の字義を解釈するだけでは、財務報告の対象とすべき事象は決められない。財務報告の対象とすべきか否かは、財務報告の対象とすることによってその目的がよりよく達成できるようになるのかも加味して、総合的に判断しなければならない。」という文言があります。

よって、向かうべき方向性(財務報告の目的)が同じであれば、構成要素の定義が意味するもの(対象に含まれるもの)の内容は同じなのかもしれません。ただ、財務報告の目的という方向性が同じであるとしても、詳細に至る部分においては、色々な考え方が存在するのも事実かと思われます。このブログでは、構成要素の定義をあえて比較検討することによって、そのスタンスの違いを感じ取ることができればと考え、構成しています。

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討議資料「財務会計の概念フレームワーク」(その2)

少し間が開いてしまいましたが、日本の財務会計の概念フレームワークについて触れていきたいと思います。2回目の今日は「会計情報の質的特性」です。

会計情報の質的特性とは、会計情報(財務諸表)が財務報告の目的を達成するために備えていなければならない性質のことでした。これについて、日本のフレームワークは、基本的な特性として意思決定有用性(投資家が将来キャッシュフローを予測するのに役立つ企業成果を開示することへの有用性)を挙げ、これを支えるものとして、意思決定との関連性と(情報の)信頼性を挙げています。

意思決定との関連性…情報価値が存在すること、情報ニーズを充足していること

(情報の)信頼性…中立性、検証可能性、表現の忠実性

IFRSのフレームワークでは、情報の信頼性を支える特性の1つとして、実質優先が挙げられていました。実質優先ということは、主観的な判断に頼らざるを得ない部分があると考えられる一方で、日本のフレームワークでは、主観的な判断に会計情報が左右されないようにとの観点から検証可能性が挙げられています。

しかし、一方で、日本の会計の世界では検証可能性が重視されてきたことによって、ともれば、形式主義的な考え方が浸透しているのではないかと思う部分もあります。日本のフレームワークがいう検証可能性は主観をできるだけ排除しようということであって、決して形式主義であるべきということを論じている訳ではありませんが、実質優先と検証可能性の問題は、実務の世界の課題ではないかと感じるところです。

また、会計情報が有用であるために必要とされる最低限の条件(一般的制約となる特性)として、内的整合性と比較可能性の2つが挙げられています。

比較可能性はIFRSのフレームワークでも述べられていた通りで、時系列の比較及び企業間の比較が可能となるように配慮されなければならないという意味で使われています。

内的整合性ですが、これは会計の基本的な考え方(会計基準の体系)と整合した(矛盾しない)個別の会計基準を採用して会計情報が作成されていることを意味するようです。これは、作成者に求められるものというよりも、会計基準を設定する側がこうした整合性に配慮しながらフレームワーク及び個別の会計基準を整備し、財務諸表の作成者は、これらの会計基準をきちんと適用することを指しているのではないかと考えます。

最後に、IFRSが取り上げている理解可能性については、日本のフレームワークでは自明のこととして記載されないことになったようです。私個人の意見としては、作成者及び利用者にどのようなレベルの理解力を求めるのか、議論があってもよかったようにも思うのですが。ただ、これについては、トウィーディー議長が「会計科学はロケット科学であってはならない」とおっしゃっていた言葉を信じて、勉強していくしかないのかもしれませんね。

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討議資料「財務会計の概念フレームワーク」(その1)

早いもので5月も中旬にさしかかろうとしています。会計や監査に携わっている多くの方々にとって、この時期は疲れもピークではないでしょうか? そういう私も、今日の午後から持病の腰痛が再発し、椅子で固まりながら、このブログを書いております。くれぐれも体調管理には気をつけたいものです。

さて、タイトルを読んで、溜息をつかれた方も多いのではないでしょうか? 「また、フレームワークかと…」 実は、日本の企業会計基準委員会(ASBJ)も2006年12月に討議資料としての「財務会計の概念フレームワーク」を公表しています。前から一度読んでみたいと思っていたのですが、なかなかチャンスもなく、今になってしまいました。というわけで、少しだけ、この内容に触れてみたいと思います。

討議資料となっているのは、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)が、共通の概念プロジェクトを開発するための共同プロジェクトを進行させているためとなっています。この辺りは、日本らしいと言えば日本らしいのですが、もともと概念フレームワークとは会計基準の基本的な指針を提示し、また会計基準の国際的収斂に向けた議論に資するものであると述べています。よって、日本(人)の会計に対する考え方(主張)が盛り込まれているとも読み取れるわけであり、そういう意味では一読に値するものではないかと思います。

第1章では財務報告の目的について述べられています。IFRSでは、「利用者が経済的意思決定を行うに当たり、企業の財政状態、業績及び財政状態の変動に関する有用な情報を提供すること」となっています。これに対し、日本基準では、「投資の意思決定に資するディスクロージャー制度の一環として、投資のポジションとその成果を測定して開示すること」となっています。

IFRSにおいても財務諸表の主たる利用者として投資家を挙げていましたので、投資の意思決定に対する有用な情報を提供することという点では変わりはないかと思います。

その情報の中身についてですが、IFRSは①財政状態 ②業績 ③財政状態の変動 の3つを挙げ、日本基準は①投資のポジション ②成果 の2つを挙げています。

日本基準は財政状態ではなく、投資のポジションという言葉を使っていますが、これは財政状態という言葉が多義的に使用されているために、あえて新しい言葉を用いたとのことであり、その内容に大きな差異はないのではないかと考えます。

また、IFRSは財政状態の変動に関する情報を含めていますが、実際には財政状態の変動について深く言及しているわけではなく(キャッシュ・フローであるとも断言はしていないように思われる)、両者の差異はそれほど大きくないのではないかと思います。ただ、将来キャッシュ・フローの生成能力を重視するIFRSの姿勢がなんとなく読み取れるのかなあとも感じられます。

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