新聞記事より

IFRS欧州で不協和音?

11月16日の日本経済新聞朝刊の記事からです。

金融危機を受けたIFRSの金融商品に関する会計基準の見直しを巡り、欧州連合(EU)から「待った」がかかり、欧州企業においてこの基準の適用が遅れる可能性があると記事では指摘されています。

その的になったのが、以前このブログでも取り上げた金融商品の評価の区分と評価(測定)方法を見直すというものです。(ブログの内容についてはhttp://tsudaman0818.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-4bc0.htmlを参照ください。)

もともと、この基準については早急に対応する必要があるとのことで、他の基準の見直しよりも前倒しで作業が進められており、EUも同じ立場であったとされていますが、土壇場になって、一部関係者から「時価評価の対象が広がりかねず、見直しが不十分」との声が上がったようです。推測ですが、公開草案段階では、株式については上場・非上場を問わず公正価値による測定が求められており、実務的には大変だなあと感じていたのですが、この辺りが問題になったのかもしれません。(※)

もともと、IFRSは法規制ではないため、欧州で適用するためにはEUの承認手続が必要だということですが、このような対応をしていたのでは、世界で1つの会計基準を作っても、各国の思惑でIFRSが捻じ曲げられてしまう恐れがあります。記事の中でも、欧州のドタバタによって、日本でも模様眺めの雰囲気が広がり、日本の会計の国際化に水を差すことに対する懸念が指摘されています。

個人的には、世界共通の会計基準が広がることで、世界中の人達と共通の認識の上で会計を扱うことができるようになることを楽しみにしているのですが・・・。

(※)最終的な基準の内容をご確認ください。

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新興国市場の重要性

11月5日の日本経済新聞朝刊の1面に日本の自動車メーカーに関する記事が2つ並びました。なんとなく珍しい気持ちがして、両方の記事を読んでみると、以下のようなことが書かれていました。

・トヨタ、中国に開発拠点

トヨタ自動車は2010年にも中国に大規模なテストコースを備え、車両開発を総合的に手がける新会社を設立する。中国の自動車市場は2009年に米国を抜き、世界最大になる見通しだが、トヨタのシェアは6%にとどまる。トヨタは新たな開発拠点の設置によって、価格・性能・デザインで高い競争力を持つ「中国専用車」の開発を目指す。

・日産、一転営業黒字に

日産自動車は2010年3月期連結決算で、本業のもうけを示す営業損益が1,200億円の黒字(前期は1,379億円の赤字)に回復する見通しだと発表した。中国など新興国で新車販売が上向き、従来の赤字予想から急回復。ホンダ・スズキを含め新興国に強いメーカーの収益改善が鮮明になってきた。

中国を新興国と呼ぶのがはばかられるほどの経済発展を遂げていますが、欧米の先進国市場ではなくアジアを中心とした新興国市場でシェアを伸ばしている企業の業績回復が目覚ましくなってきました。以前、このブログでも「企業業績のアジアシフト」というタイトルで記事を書かせていただきましたが、その傾向がより鮮明になってきつつあるようです。

「企業業績のアジアシフト」へのリンクはこちら ⇒ http://tsudaman0818.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-d527.html

内容は新聞記事の分析結果をまとめたものだったのですが、恐らく、セグメント情報の分析・集計結果を取りまとめた結果からその傾向が読み取れるということが書かれていました。こうして考えると、財務諸表は企業の将来動向の予測に対して少なからず有用な情報を提供しているのだなあと、今更ながら感心した次第です。(お恥ずかしい話ですが)

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国際会計への挑戦

11月3日の日本経済新聞朝刊に「国際会計への挑戦」というタイトルの記事が掲載されていましたが、皆さん気がつかれましたか?

記事では、まず水晶部品メーカーである日本電波工業が従来英文の年次報告書の作成時のみに採用していた国際会計基準(IFRS)を2010年3月期の国内開示に適用すべく準備を始めているという話題から始まります。英文の年次報告書に先行して国際会計基準を採用した背景として、1990年代後半のいわゆるレジェンド問題から、海外の投資家や取引先に財務の健全性を示す必要に迫られたことが取り上げられていますが、筆者はこのような取り組みを会計不信から身を守るために、国際的な基準を利用して、市場に対して自ら説明することに活路を見出したと評価しています。このような対応は、統一通貨ユーロへの参加とその帰結としての国際会計基準採用を決定した欧州各国においても同様であり、長年培われた企業文化の美点よりも、自国の経済や市場を守り企業の国際戦略を優先するという視点が優先されたと指摘されています。

また、記事の最後には、故染谷恭次郎先生が1967年に発表された「インターナショナル・アカウンティングへの挑戦」という論文が引用されています。染谷先生は、単に会計基準の差異だけでなく、企業経営や市場の背後に横たわる文化・哲学の違いを乗り越えることの重要性を指摘した上で、「会計人よ、視野を世界に広げてほしい」という言葉で締めくくられたそうです。この「視野を世界に広げる」という言葉の意味を少し噛み締める必要がありそうです。

先週、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)の両首脳が会談し、現在年3回となっている両親議会の会合を今後は毎月行うことを表明したそうです。これにより、両者の共通化はより徹底され、ひいては、米国が国際会計基準の強制採用する前提条件が整っていくことにもつながっていくと考えられます。日本でも国際会計基準への関心が日に日に高まっていく中で、前述の日本電波工業さんや欧州各国の取り組みや染谷先生の指摘を読みながら、「会計の国際化に本当に必要なものは何か? 何が求められるのか?」ということを少し考えさせられた記事でした。

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上場企業の業績改善

11月1日の日本経済新聞朝刊の記事からです。

同紙が7月~9月期決算を集計したところ、全産業の連結経常利益が4月~6月期比で2.3倍となっており、2四半期連続で改善したとのことです。製造業を中心にコスト削減が進んだことや景気対策の効果で売上高が底打ちしたことが要因として挙げられています。ただ、政策効果が一巡することや円高の影響も懸念されることから、今後については不透明感がまだ強いようです。

さて、この記事を読んで、お気づきになることがありませんか? 昨年からの四半期決算制度導入により、期首からの累計業績に加え各四半期毎の業績開示も求められることになりました。四半期毎の業績推移を分析することで、業績のトレンドをタイムリーに知ることができ、企業業績の状況をより明確に把握することができるようになったのではないでしょうか? 関心のある企業の四半期業績を推移分析してみると、新たな発見があるのではないかと思います。

ただ、四半期開示によって、経営者の方々はより短期的な業績追求が求められるようになり中長期的な戦略策定が難しくなったという話も聞かれるところであり、難しい面もあるようですが…。

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どうなる?持ち合い株式の会計処理

最近、IFRSにおける持ち合い株式の会計処理が新聞を賑わしています。新聞以外の情報も含め、その内容を整理してみたいと思います。

金融商品会計基準の見直しについては、IASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)との共同プロジェクト(MOU)において取り上げられている1つの項目となっています。取り上げられているテーマは、金融商品の分類及び測定、減損処理、ヘッジ会計などがあるようですが、金融商品の分類と測定については、昨年のリーマンショック以来の混乱を踏まえて、金融商品の分類(測定区分)の簡素化の要請があり、他のテーマよりも前倒しで検討が進められたようです。分類と測定については、2009年7月に公開草案が公表され(新聞紙上ではこの頃から頻繁に取り上げらるようになったと考えられます。)、2009年中に最終基準として取りまとめられることが予定されています。

7月に公表された公開草案の概要

債券(負債金融商品)については公正価値評価するものと償却原価評価するものの2区分が提案されています。ただし、償却原価評価できるものは、①基本的な貸付金の特徴を持っている、②契約金利に基づいて管理されている、の要件を満たすものでなければならないとされています。また、公正価値区分と償却原価区分との振替を禁止するなどの取扱いが提案されています。

一方、株式(持分金融商品)については公正価値測定(時価評価)のみとされています。このうち、売買目的で保有されているものについては、その公正価値の変動はすべて当期純利益に含められますが、それ以外のもの(いわゆる持ち合い株式)については、当初において経営者がその公正価値の変動を当期純利益に含めて計上するのかその他包括利益(OCI)として計上するのかを選択することができるとされています。また、公正価値の変動をOCIとして計上する場合には、その株式を売却した時の損益を当期純利益に含める(リサイクル)の処理が認められず、さらに、受取配当金もOCIで計上することが求められています。一方で、減損処理(評価損を当期純利益に含めて処理する)必要もなくなるということになり、結局、公正価値の変動をOCIとして処理する株式については、その株式に関連する一切の損益をOCIで計上することが求められている訳です。

企業が売買目的以外の目的で保有する株式が多い日本にとっては、この公開草案のインパクトは相当大きく、公正価値の変動(すなわち評価損益)を当期純利益に含めるという選択をしなければ、配当金や有価証券売却益も当期純利益に含めることができないというルール変更を強いられることになる訳です。当然、日本はこの公開草案に反対の立場を表明していました。

10月15日・16日の日本経済新聞の記事によれば、IASBの臨時会合において、公正価値の変動をOCIで処理する株式の配当金を当期純利益に含めることも認める決定がなされたようです。一方で、株式の処分損益のリサイクルは認めない方針が維持されているようです。10月15日の日本経済新聞に掲載された、IASBのトウィーディー議長のインタビューの中に「30年間保有していた持ち合い株式をある日突然売却したとして、それが純利益に計上されるとすれば、当期の本業で稼いだ利益が見えなくなる。」とのコメントがあります。確かに、この持ち合い株式の売却損益に関して言えば、トウィーディー議長の指摘は的を得ていると思いますが、当期純利益は本業で稼いだ利益だけが計上されているものなのでしょうか?(そもそもIAS第1号では、包括利益計算書においていかなる収益・費用も異常項目として表示することは認められていませんが。) 

結局、この問題は「当期純利益が何を表現するのか?」という問題、言い換えれば「何が損益で、何がその他の包括利益になるのか?」という問題につながってくるように思えるのです。新聞記事には、配当金の会計処理の変更は日本への配慮の結果だという風に書かれていましたが、そんな政治的配慮で会計基準が決まってしまっていいのでしょうか? その辺りのことについて、少し私見を次回のブログで書いてみたいと思います。

(※)今回のテーマからは外れますが、公開草案では非上場株式についても一律に公正価値評価が提案されており、これが基準化されると経理実務には相当大きな影響を与える可能性があると考えられます。

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J-SOX 初年度の結果は?(その3)

今回は、重大な欠陥が報告されている内部統制報告書を読んで感じたことを私なりにまとめてみようと思います。

①決算・財務報告プロセスの内部統制整備

決算・財務報告プロセスに関する重大な欠陥が全体の約60%を占めており、この領域の内部統制整備の難しさがあらためて浮き彫りになったのではないかと感じました。特に、新しく導入された会計基準の対応では、経営者の見積りと深く結びついたものが多いため、この見積りをいかに内部統制に落とし込むかという点で苦慮された方も多かったのではないかと思います。やはり、会社ごとの会計処理ルールと経営者の見積り数値の算定過程の明確化が今後の大きな課題になってくるものと思われますし、これらのことは、企業を取り巻く環境の変化に対応しなければならないため、今年が大丈夫だったからといって油断は禁物だと思われます。また、これまでは決算・財務報告プロセスについては会計監査があるので、内部監査等のモニタリングの対象からも除外されているケースが多かったのではないかと思われますが、今後は決算・財務報告プロセスのモニタリングを強化する必要があるのではないかと感じました。具体的には、内部監査メンバーに決算業
務に精通したメンバーを投入して会計監査前の内部監査を実施したり、モニタリング機能を外部の専門家(公認会計士等)にアウトソーシングする等の対応が考えられます。

②連結ベースの内部統制整備

子会社の決算に関する内部統制に重大な欠陥が見つかったり、急激な事業の拡大に内部統制整備が追いつかないなど、連結ベースの内部統制整備に関する問題が浮き彫りになったようにも思われます。グループ経営あるいは連結経営という言葉が使われるようになって随分と時間が経ったようにも思いますが、グループ経営(連結経営)の展開は、事業の拡大と適切な管理体制(内部統制)の構築がセットでなければならないということを経営者の方々に再度認識していただく必要があると感じました。

③内部統制にかけるべき適切なコストは?

経営環境が極めて厳しく、経費削減を余儀なくされる企業様も多いと思われますが、今回読んだ内部統制報告書の中には、合理化を進めすぎた結果、適切な決算業務の遂行に支障をきたしてしまったと書かれているものもありました。内部統制導入費用のことはかなり話題になりましたが、今後は内部統制運用コストをどのくらいかけていくのか、コスト・ベネフィットの着地点をどこに求めるのかということがポイントになるのではないかと感じました。景気の後退局面では、管理部門のコストはリストラの対象になりやすいところですが、行き過ぎたコスト削減は内部統制の重大な欠陥を招くことにもなりかねません。内部統制の重大な欠陥が企業の信用力や財務行為にどの程度の影響を与えるのかは未知数ですが、これら失うものの大きさと投入するコストとの比較が大変重要になってくるような気がします。

以上、3回に分けてJ-SOXの初年度を振り返ってみました。皆さんもお時間があれば、一度重大な欠陥が報告されている内部統制報告書を読まれてはいかがでしょうか? ことわざにもあるように、他の会社の様々な事例からご自身の会社が気をつけなければならない点を発見する1つのいい機会なのではないかと感じました。

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J-SOX 初年度の結果は?(その2)

少し更新が遅くなってしまいましたが、3月決算で内部統制に重大な欠陥があると報告された56社の内部統制報告書を読んでみました。今日はその分析をしてみようと思います。なお、この分析については、あくまで私の個人的見解であることをあらかじめお断りしておきます。

重大な欠陥が発見された内部統制の領域

1つの会社において、いくつもの欠陥が発見されたケースもあるため、全体では86の重大な欠陥が報告されています。これを大きな領域で区分してみると、決算・財務報告プロセスに係るものが約60%を占め、全般的統制と業務プロセスに係るものが約20%ずつという内訳でした。

決算・財務報告プロセスに関する欠陥の内訳については、個別の会計基準の適用に重大な欠陥があると指摘された事例が約半数を占める一方、決算全般に係る内部統制や子会社の決算体制に係る内部統制に重大な欠陥があると報告されたケースも比較的多かったようです。個別の会計基準の適用については、税効果会計・減損会計・引当金など、経営者の見積りを要求されるものについて、適切に会計基準の適用が行われていないと指摘されたケースが大半でした。

全般的統制については、会社において重大な事件が発生したために全般的統制(統制環境)に重大な欠陥があると指摘されたケースが圧倒的に多かったです。IT関連では、データの紛失ということで1件が報告されているに留まっていました。業務プロセスに関するものでは、売上に関するものが比較的多かったように思われます。

期末日までに重大な欠陥が改善されなかった理由

内部統制報告制度においては、例え内部統制に重大な欠陥が発見されても、期末日までにそれが改善されていれば、報告の必要はないことになっています。ということは、逆に言えば、上記の56社は期末日までに何らかの理由で改善が果たされなかったということになるため、その理由を内部統制報告書から探ってみました。

最も多かった理由は、十分な人材の確保・育成ができなかったというものでした。また、2番目は期末日直前または期末日以後に重大な欠陥が発見されたため、改善のための時間を確保することができなかったとするものでした。この2つの理由を合わせて約70%に及んでいます。急激な事業の拡大に管理部門が対応しきれなかったことを挙げている例や新規連結子会社において重大な欠陥が発見された例など事業の拡大に内部統制がキャッチアップできていない事例も少なからず見受けられました。

また、運用状況に関する不備に会社が気づいておらず、財務諸表監査において監査法人から修正の指摘を受けた結果、内部統制の重大な欠陥が認められたために改善できなかったというものもありました。これは会社のモニタリング活動の機能強化が求められれる事例だと思われます。

次回は、この内部統制報告書を読んでの私の感想と取りまとめてみたいと思います。

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J-SOX 初年度の結果は?(その1)

今朝(7月2日)の日本経済新聞朝刊の記事からです。2009年3月期から始まった内部統制報告制度で、経営者自らが「重要な欠陥がある」と開示した上場企業は56社となったことが明らかになりました。これは、これまでに内部統制報告を行った会社(2672社)の2%であり、初年度に16%の企業が重要なな欠陥があると記載した米国に比べると非常に少ない結果となったようです。

記載理由で多かったのは、会計監査人による会計処理の誤りの指摘がそのまま内部統制の重要な欠陥につながった事例のようです。これは、会計処理の誤りの事実が内部統制の重要な欠陥を意味するのではなく、その誤りが起こった原因を突き詰めた時に内部統制の重要な欠陥が原因であると認められた場合を指します。このケースでは、内部統制の評価そのものからは欠陥は発見されなかったものの、決算を行った結果として内部統制の欠陥が明らかになったと考えられるため、内部統制担当者の方にとっては、非常に対処が難しいと考えられます。また、循環取引等の不適切な取引や従業員の不正が発覚したことにより、重要な欠陥の存在を記載したケースもあったようです。

リスクコンサルティングで有名なプロティビティジャパン社長の神林比洋雄氏によれば、日本企業の重要な欠陥が全体の2%にとどまったのは、日本の各企業が米国の先行事例を参考に入念な準備をし、また、金融庁や監査法人も制度の周知徹底を推進した結果であると高く評価されているようです。一方で、内部統制報告書を読んだだけでは、「有効」や「重要な欠陥」の程度が分かりにくい面があったり、内部統制報告書が開示されるまで、投資家が重要な欠陥の存在を知ることができないため、適時開示の観点から改善が必要である旨の指摘をされています。

皆さんは、この結果をどのように受け止められましたか? 神林先生のおっしゃるように日本の取り組みが優れていた結果として総括することができるのでしょうか? 確かに、日本の内部統制担当者の皆さんの取組姿勢は素晴らしいものがあったと思いますし、そのこと自体を否定つもりはありません。また、日本企業の場合は、従業員の会社に対する帰属意識も高く、高いモラルを持って内部統制が運用されたということも想像されるところです。しかし、それでもなお、率直な感想として、米国と日本でそれほどに会社の内部統制の整備状況に差異があったのだろうか? その差異はどのような点において顕著に認められるのかということを知りたいなと思ったのです。この辺りは、今後調査研究が進められることを期待したいところです。

また、重要な欠陥のある会社があまり多くない、しかも、重要な欠陥の多くが会計監査人が会計処理の誤りを指摘した結果から導き出されているということを考えると、この内部統制報告制度の意義そのものを考える必要はないでしょうか? 結局、内部統制を通じて作成される財務諸表の品質(信頼性)に対して、監査法人が一定の保証をしているのであれば、それ以上のことを開示する必要性があるのかという気もするのです。もちろん、この制度の導入を通じて内部統制に対する社会の関心が飛躍的に高まり、また、経営者の方に対して内部統制を継続して良好に運用する責任があることを認識させる効果があることは否定できないのですが。

皆さんはどう思われますか? 次回は重要な欠陥があると報告された56社の内部統制報告書を読んでみて、もう少し私なりの分析を加えてみたいと思います。

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ポイント・マイレージの会計処理

少し前の新聞記事になりますが、6月12日日本経済新聞朝刊の記事からです。企業が販売促進に使っているポイントやマイレージの会計処理が国際会計基準の影響から厳格になっていると記事は指摘しています。

既に国際会計基準の適用を受けている欧州やオーストラリアの航空会社の事例では、いずれも多額のマイレージ関連負債を計上したことにより、大幅な業績悪化につながったと指摘されています。これまでは、ポイント使用にかかる費用を見積もって引当処理する方法が一般的だったものが、新しいルールの適用により、ポイント発行時にポイント分は売上から控除し、ポイント分は企業が将来実行すべき義務(負債)として計上するルールに改められたとされています。つまり、ポイントやマイレージはその発行額の100%が負債として計上されるようになったというイメージでしょうか。

一方、日本国内ではマイレージに関する明確な会計基準がないため、処理方法にはバラつきがあるとされています。航空会社でも、JALはマイル発行時に発行分を費用計上(販管費)を計上するとともに履行義務分を債務で計上していますが、ANAはマイル発行時には処理を行わず、期末時点の未使用マイルのうち将来使用されると認められる部分を引当処理(費用処理)されているようです。

このような制度は航空業界が有名ですが、それ以外にも、家電量販店をはじめとする小売店や携帯電話会社なども同様の制度を持っており、名称の如何を問わず、将来の販売促進のための値引制度を設定しているような場合には影響を受ける可能性があると考えられます。また、この問題では売上の取扱い(売上の計上金額そのもの)が変わってしまうことになるため、営業部門への説明やシステムの対応等の影響も考えておく必要があると思われます。

国際会計基準では、IAS第18号「収益」という基準書がありますので、いずれこのブログでも取り上げていくことにしたいと思います。

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資産除去債務に関する会計基準

少し前の話になるのですが、6月10日の日本経済新聞朝刊に資産除去債務の会計処理に関する記事が掲載されていました。

資産除去債務とは、固定資産等の撤去が法律・契約等で義務付けられている場合に発生するコストのことであり、これを固定資産の取得時に会計処理しようというのが今回新たに設けられた基準の趣旨になります。また、最近話題になっているPCBやアスベスト等の有害物質の除去コストも対象に含まれることとなっています。

会計基準の強制適用は2011年3月期からですが、2009年3月期で早期適用を実施された事例もあるようです。ある企業では、鉱山の閉山費用等を見積もった結果、約30憶円の資産除去債務が発生したとされています。特殊なケースかもしれませんが、これだけの影響を与える可能性がある会計基準であるということも言えそうです。

資産除去債務の会計基準を適用するにあたっては、

・資産除去債務が発生している範囲(資産)の特定

・資産が除去(除却)される時期の見積り

・除去に際して発生するコストの見積り

・固定資産台帳や除去債務に関する台帳の整備

など準備に時間を要すると思われるものが多い一方、2011年3月期の期首時点(つまり2010年3月時点)において保有している資産について資産除去債務の有無を検討し、資産除去債務を有しているものについては取得時点まで遡って影響額を算定する必要がある(新規取得資産のみが対象になるのではない点に注意が必要です。)ため、来年3月あたりを目処にした準備が必要と考えられます。

このブログでも、少し昔になりますが、資産除去債務の会計基準を解説した記事を書かせていただいていますので、是非参考にしていただければと思います。また、この夏新しい会計基準に関するセミナーが各所で企画され、私も講師を担当させていただくことになっています。その中でも、この資産除去債務の会計基準はウェイトの高い項目となっていますので、是非ご参加いただき情報収集に努めていただきたいと思います。

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