ゴーイングコンサーン注記の規定改正(その3)
ゴーイングコンサーン注記の要否を判断する基準が改訂されたことで、これまでゴーイングコンサーン注記を記載していた企業が注記を行う必要がなくなるケースも相当発生するのではないかと考えられます。このようなケースでは、これまで開示されていたものが開示されなくなることになり、しかも、内容がゴーイングコンサーンに重要な疑義を与える事象・状況に関するものですから、相当な情報開示の後退となる危険性があります。
そこで、企業内容等の開示に関する内閣府令(有価証券報告書の記載要領)も合わせて改正がなされ、ゴーイングコンサーン注記としての開示対象にならなかったものでも、ゴーイングコンサーンに重要な疑義を与える事象・状況については、「事業等のリスク」として記載することが求められるようになり、また、これらの対応策について、「財政状態及び経営成績に関する分析・検討」のところで記載することが求められるようになりました。
これが、いわゆる経営リスクの2段階開示と呼ばれる仕組みです。簡単にまとめてみると、
ゴーイングコンサーンに重要な疑義を与える事象・状況
・重要な不確実性あり → ゴーイングコンサーン注記として記載(監査対象)
・重要な不確実性なし → 事業等のリスク等として記載(監査対象外)
有価証券報告書の仕組みから言えば、これまでと同じレベルの情報開示を求めている訳ですから、その点については特に問題はないのではないかということになります。やはり、今回の改正で最も重要なのは、監査対象となるゴーイングコンサーン注記としての記載を求めるか否かの判断であろうというのが私の率直な感想です。
ただ、今回のルール改正は2009年3月期決算から適用となる上、企業会計審議会の監査基準の改訂に関する意見書も4月10日付で正式に公表される等、作業は急ピッチで進められています。しかし、このデュープロセスの短さがかえって企業への政策的な配慮として受け止められている側面もあるようです。(参考:4月7日付の日本経済新聞朝刊記事)
確かに、今回の改訂は、IFRSとの整合性を図るという点や本来あるべきゴーイングコンサーン注記のあり方を示しているという側面があることは私も理解できる部分です。しかし、あまりに唐突な見直しであるがために(本当はそうではないのかもしれませんが)、監査人の対応にかなりのバラツキが出てきそうな懸念もありますし、今回の改訂自体が経営リスクの情報を隠そうとするものという印象を与えかねないということには留意しておく必要があるかと思われます。
いずれにしましても、2009年3月期決算にどのような影響を与えるのか、また、これらの情報開示の動向が株価や信用リスク等の財務活動にどのような影響を与えるのか注目しておく必要がありそうです。
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