IFRS関連

IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その16)

このフレームワークに関するブログもようやく最後のパートに入ってきました。途中で何度か挫折しそうになりましたが、なんとか続けることができました。

今回は、「資本及び資本維持の概念」について触れていきますが、その前に少しおさらいをしておきたいと思います。

フレームワークでは、持分、収益、費用を以下のように定義していました。(第49項及び第70項)

持分…特定の企業のすべての負債を控除した残余の資産に対する請求権

収益…資産の流入もしくは増価又は負債の減少の形をとる経済的便益の増加であり、持分参加者からの拠出に関連するもの以外の持分の増加を生じさせるもの

費用…資産の流出もしくは減価又は負債の発生の形をとる経済的便益の減少であり、持分参加者への分配に関連するもの以外の持分の減少を生じさせるもの

しかし、その一方で「資産及び負債の再評価又は修正表示によって、持分の増加又は減少がもたらされる。持分の増加又は減少が収益及び費用の定義を満たすとしても、これらは特定の資本維持概念の下では損益計算書に計上されない。その替わりに、これらの項目は、資本維持修正額又は再評価剰余金として、持分に計上される。」(第81項)とし、資産・負債に関するすべての評価損益が収益・費用になるわけではないことを示唆していました。ここで大きく関わってくるのが資本維持概念ですが、フレームワークでは、まず資本の概念について、以下のように述べています。(第102項)

a)貨幣資本…貨幣資本とは投下した貨幣又は投下した購買力のことであり、資本は企業の持分(純資産)と同義となる。

b)実体資本…実体資本とは企業の操業能力などのことを指し、資本は企業の生産能力等とみなされる。

どのような資本概念を選択するかは、財務諸表の利用者の要求(関心)に基づかなければならないとされており、選択された資本概念は利益の算定に影響を与えると述べられています。これは、先程触れた第81項の内容と同じであると考えられます。

次回はフレームワークの最終回として、資本維持の概念及び利益の決定について述べたいと思います。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その15)

ゴールデンウィークもいよいよ今日で終わりとなりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 我々公認会計士にとっては、このゴールデンウィークの辺りが1年で一番忙しい時期といっても過言ではないかと思います。私もゴールデンウィークの休日は昨日1日だけでした。体力的にも厳しい毎日が続きますが、なんとか乗り越えたいものです。

書き出しがコラム調になってしまいましたが、今日はフレームワークの15回目「財務諸表の構成要素の測定」についてです。

測定とは、「財務諸表の構成要素が認識され、貸借対照表及び損益計算書に計上される金額を決定する過程」(第99項)をいいます。フレームワークでは、測定基礎(測定の考え方とでもいうのでしょうか?)として、4つの考え方を示しています。(第100項)

・取得原価…資産であればその取得時に支払われた現金及び現金同等物(以下、キャッシュと呼ぶ)の金額等、負債であれば債務との交換によって受領した金額、あるいは、その負債を決済するために支払うことが予想されるキャッシュの金額のこと

・現在原価…資産であれば同一の資産を現時点で取得する場合に支払わなければならないキャッシュの金額、負債であれば債務を現時点で決済するために必要となる金額のこと

・実現可能(決済)価額…資産であれば経常的な処分によって得ることができるであろうキャッシュの金額、負債であれば通常の事業の家庭において決済するために支払われるであろうキャッシュの金額のこと

・現在価値…資産であれば通常の事業の過程において生じるであろう将来の正味現金流入額の現在の割引価値、負債であれば通常の事業の過程において決済するために必要とされるであろう将来の正味現金流出額の現在の割引価値のこと

財務諸表を作成するために一般的に採用される測定基礎は取得原価であるが、他の測定基礎とも結びついた形で財務諸表はできているとフレームワークは述べています。今の会計が取得原価主義なのか時価主義なのかという議論はあまり意味をなさないのかもしれませんが、これを読む限りでは、国際会計基準も一応は取得原価主義会計を基本としているのかなと思います。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その14)

フレームワークの第14回目は、収益と費用の認識基準について考えていきたいと思います。

収益の認識は、「資産の増加又は負債の減少に関連する将来の経済的便益の増加が生じ、かつ、それを信頼性をもって測定できる場合に、損益計算書に認識される。」(第92項)となっています。つまり、収益は資産の増加の認識または負債の減少の認識と同時に認識されることを意味しています。

前回のブログにおいて、資産の認識基準は、将来の経済的便益が流入する可能性が高くなった時点で資産を認識することとなっているため、収益の認識は現状において我々が考えている実現主義よりも少し解釈が広くなっているのではないかとの問題認識を示しました。

しかし、第93項においては、「実務上、収益を認識するために採用される通常の手続、例えば、収益は稼得されなければならないという要請は、本フレームワークにおける認識基準を適用したものである。」とされており、特に現状の収益認識基準と変わるところはない模様です。

一方、費用は、「資産の減少又は負債の増加に関連する将来の経済的便益の減少が生じ、かつ、それが信頼性をもって測定できる場合に、損益計算書に認識される。」(第94項)となっており、これは、負債の増加又は資産の減少と同時に認識されることを意味しています。

第95項では、いわゆる費用収益対応の原則について触れられています。費用収益対応の原則の内容については一般に知られているところと変わりはありませんが、「本フレームワークにおける費用収益対応の原則の適用は、資産又は負債の定義を満たさない貸借対照表項目の認識を許容するものではない。」と述べられており、費用収益対応の原則が最優先されるわけではないことが示されています。

一方で、第96項においては、有形・無形固定資産の減価償却手続についての記述があります。よく費用収益対応の原則と減価償却手続とが混同されるケースが見受けられますが、減価償却手続は、経済的便益の費消又は消滅する会計期間に資産の減少(費用の発生)を認識するという点で、単純な費用の繰延とは異なる話である点を理解しておく必要があるかと思います。

次回は、財務諸表の構成要素の測定について考えていきたいと思います。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その13)

フレームワークには、財務諸表の構成要素ごとにその認識基準が示されています。今回は、その部分を読んでいくことにします。

まず、資産の認識基準ですが、「資産は、将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ、資産が信頼性をもって測定できる原価又は価値を有する場合に、貸借対照表に認識される」(第89項)となっています。

また、第90項においては、経済的便益が当該会計期間以降に企業に流入することが見込まれない支出が発生しても資産は貸借対照表に認識されず、費用として認識されるということが書かれています。このことは、経営者の意思や判断を問うているものではなく、経済的便益が将来企業に流入するであろう確実性の度合が、資産の認識を保証するのに不十分であることを意味するとされています。

一方、負債は、「現在の債務を履行することによって経済的便益を有する資源が企業から流出する可能性が高く、かつ、弁済が行われる金額が信頼性をもって測定できる場合に、貸借対照表に認識される」(第91項)とされています。

また、第91項には、「実務上、未履行の契約の契約に基づく債務(例えば、注文したが未だ受領していない棚卸資産に関する負債)は、一般的に、財務諸表において負債として認識されない。しかし、かかる債務は、負債の定義を満たし、特定の状況において認識基準が満たされるならば、認識されることとなる。」という記述があります。

日本の実務においても、未だ受領していない棚卸資産に関する負債を計上するケースとは、貿易取引における未着品のケースなど一部に存在すると思われますが、国内取引の場合にはあまりないのではないかと思います。細かい部分ではありますが、こうした負債も今後認識することになるのでしょうか?

次回は、収益と費用の認識基準を検討したいと思います。

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日本基準の同等性評価

4月25日の日本経済新聞夕刊によると、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、日本の企業会計基準が国際会計基準(国際財務報告基準?)と同等であると判断する報告書を公表したとのことです。

最終的には、EUの最終意思決定機関であるEU総会の承認を経る必要があるようですが、これにより日本の会計基準で作成された財務諸表はEU域内でも受け入れられる可能性が高くなり、いわゆる「2009年問題」は回避される公算が高まったことになります。

ただ、報告書は、日本の企業会計基準を国際会計基準に刷り合わせる作業が進んでいることを評価しており、作業が遅れない限り同等と判断できるとの結論が示されているようです。つまり、今後も日本の会計基準の改訂作業が順調に進み、新しい会計基準が定着することが条件となっているとも読み取れそうです。

いよいよ、日本の会計も、また一歩新しい世界に足を踏み入れることになりそうです。一体、我々にどのような世界を見せてくれるのでしょうか?

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その12)

IFRSのフレームワークの話も12回目となり、いよいよ佳境に入ってきました。今回は、財務諸表の構成要素の認識についてです。

前回までは財務諸表の構成要素の定義について考えてきました。今回からは「認識」、すなわち、構成要素の定義を満たすものをいつ決算書(貸借対照表や損益計算書)に載せるのか(フレームワークの原文では組み入れるという言葉を使っていますが)を考えていきたいと思います。

認識のルールとして、フレームワークの第83項では、以下の記述があります。

(a)当該項目に関連する将来の経済的便益が、企業に流入するか又は企業から流出する可能性が高い。

(b)当該項目が信頼性をもって測定できる原価又は価値を有している。

1つ気がつくのは、将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い段階で、認識を行うとされている点です。私が学んだ財務諸表論から考えると、将来の経済的便益が企業に流入したと認められた時点で(収益)認識を行うべきであり、少し収益認識の幅を持たせているのかなと感じられます。一方、経済的便益が企業から流出する可能性が高い段階で認識を行うのは、引当金の会計処理がイメージされるところであり、それほど今の会計と違和感はないのかなと思います。

経済的便益が流入(流出)することの不確実性(フレームワークは蓋然性という言葉を用いていますが)、は企業活動の環境における不確実性と同じであり、この不確実性の評価は財務諸表の作成時において利用可能な証拠によって行われなければならないとされています。(第85項)

また、測定の信頼性については、見積りを否定するものではなく、むしろ合理的な見積りの採用は財務諸表の作成に必要不可欠であるとされています。逆に言えば、合理的な見積りができない場合には、認識は行われないとされています。(第86項)

次回は、財務諸表の各構成要素の認識基準について、研究していきたいと思います。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その11)

財務諸表の作成及び表示に関するフレームワークの第11回は持分と収益・費用について考えてみたいと思います。

まず、持分の定義ですが、「持分とは、特定の企業のすべての負債を控除した残余の資産に対する請求権である。」(第49項) となっています。つまり、持分とはこれまでみてきた「資産」から「負債」を控除したものとなっており、持分そのものが積極的に定義されているわけではないということが言えるかと思います。

次に、収益及び費用ですが、それぞれ以下のように定義されています。(第70項)

「収益とは、当該会計期間中の資産の流入若しくは増価又は負債の減少の形をとる経済的便益の増加であり、持分参加者からの拠出に関連するもの以外の持分の増加を生じさせるものをいう。」

「費用とは、当該会計期間中の資産の流出若しくは減価又は負債の発生の形をとる経済的便益の減少であり、持分参加者への分配に関連するもの以外の持分の減少を生じさせるものをいう。」

以前に述べたように、IFRSではいわゆる資産負債アプローチが採用されているため、収益・費用の定義自体を積極的に行っているわけではありません。ただし、フレームワークにおいては、いくつかの収益・費用に関する説明がなされています。

収益には、利得が含まれる。(第74項) 費用には、損失が含まれる。(第76項)

⇒今まであまり深く考えたことはなかったのですが、狭義の収益や費用は通常の活動の過程において発生するのに対し、利得や損失には通常の活動の過程において発生するわけではないもの(例えば、非流動資産の処分)が含まれると説明されています。この区分が何らかの意味を持つのかどうかについて、注意しておきたいと思います。

収益の定義には、未実現利得も含まれる。(第76項)

⇒確かに資産の定義を考えれば、いわゆる評価益のような未実現利得が計上される可能性も十分に考えられます。この辺りについても、具体的な資産の評価のルールがどのようになっているのか、注意しておきたいと思います。また、このような記載もあります。

「資産及び負債の再評価又は修正表示によって、持分の増加又は減少がもたらされる。持分の増加又は減少が収益及び費用の定義を満たすとしても、これらは特定の資本維持概念の下では損益計算書に計上されない。その替わりに、これらの項目は、資本維持修正額又は再評価剰余金として、持分に計上される。」(第81項)

⇒この内容は、資産・負債に関するすべての評価損益が収益・費用になるわけではないことを意味しています。資本維持概念については、フレームワークの最後の部分で登場しますので、また検討することにします。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その10)

今回でIFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワークの話題も10回目になってしまいました。しかし、いよいよ佳境に入ってきましたので、頑張りたいと思います。今回は負債のお話です。

フレームワークでは、負債は以下のように定義されています。

「負債とは、過去の事象の結果として当該企業の現在の債務であり、これを決済することにより経済的便益を包含する資源が当該企業から流出する結果になると予想されるものをいう。」(第49項)

この文言を読むと、それほど負債に関しては特別なことは記載されていないのではないかとお思いになる方も多いかもしれません。しかし、財務諸表はその利用者が行う経済的意思決定に役立つ情報を提供するものであり、その経済的意思決定とは、企業がキャッシュを生み出す能力、その発生時期及び確実性を評価することとされていました。当然、負債の定義についても、この影響を受けているのではないかと思われる箇所が見受けられます。

・負債の基本的な特徴は、企業が現在の債務を負っていることである。債務とは、ある一定の方法で実行又は遂行する責務又は責任である。…(中略)… しかし、債務は、通常の取引慣行、慣習及び良好な取引関係を維持し、又は公正とみなされるように行動したいという要望からも生じる。(第60項)

⇒すなわち、債務は通常法律上の義務である場合が多いが、必ずしもそうとは限らないということを示しています。また、

・第49項の負債の定義は、より広義なアプローチを採用している。したがって、引当金が現在の義務であって、かつ残りの定義を満足させるときには、たとえ当該金額を見積もらなければならない場合でも負債となる。(第64項)

⇒この文章は引当金の負債性について言及したもの(確か、財務諸表論の正解では引当金は負債かという議論もあったような記憶がありますが…)とも考えられます。ただ、私はこれまでの議論を踏まえると、現在の時点において、過去の事象に基づき将来の経済的資源の流出が合理的に予想されるものはすべて負債として計上しなければならないというように理解した方がいいのではないかと考えています。

債務という言葉からは、いかにも法律上の義務だけを対象としているような印象を持ってしまいそうですが、注意が必要です。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その9)

少しお休みしておりましたが、今回からIFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワークの話題に戻りたいと思います。今回は資産について、より深く探っていきたいと思います。

前回も触れましたが、フレームワークでは資産は以下のように定義されています。

「資産とは、過去の事象の結果として当該企業が支配し、かつ、将来の経済的便益が当該企業に流入することが期待される資源をいう。」(第49項)

第53項では、「資産が有する将来の経済的便益とは、企業への現金及び現金同等物の流入に直接的に又は間接的に貢献する潜在能力をいう。」と定義しています。これまでの議論でおわかりのように、財務諸表はその利用者が行う経済的意思決定に役立つ情報を提供するものであり、その経済的意思決定とは、企業がキャッシュを生み出す能力、その発生時期及び確実性を評価することとされていました。

よって、資産とは将来企業へキャッシュを流入(あるいは、キャッシュの流出を減少)させる能力を持っているものと定義されることになります。この定義をより掘り下げて考えてみると、以下のことがわかります。

・資産の多くは物的形態をとる(有形である)と考えられるが、物的形態が資産の要件に不可欠なものではない(無形のものも存在し得る。)。(第56項)

・資産の多くは法律上の権利(所有権)を有していると考えられるが、所有権が資産の要件に不可欠なものではない。例えば、リース資産は企業が所有権を有していない資産であるが、リース資産を所有することで企業にキャッシュの発生がもたらされるのであれば、資産として認識する必要がある。(第57項)

・資産の取得は支出の発生と密接な関係を有するが、これらは必ずしも一致するとは限らない。関連する支出がなかったとしても、資産の定義を満たすのであれば、貸借対照表に認識することを妨げない。(第59項)

この資産の定義を読み返してみると、近年公表されている会計基準の多くが理解できるのではないでしょうか? また、無形資産を積極的に認識しようという動きとも密接な関係があるように思われます。私のように商法時代の資産の定義に縛られていては、資産の認識を誤ってしまうかもしれませんね。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その8)

今日は、財務諸表の作成及び表示に関するフレームワークの第8回「財務諸表の構成要素」です。財務諸表の構成要素とは、その名の通り「財務諸表を構成するもの」であり、資産・負債・持分・収益・費用についての定義があります。

資産…過去の事象の結果として当該企業が支配し、かつ、将来の経済的便益が当該企業に流入することが期待される資源

負債…過去の事象から発生した当該企業の現在の債務であり、これを決済することにより経済的便益を包含する資源が当該企業から流出する結果になると予想されるもの

持分…特定の企業のすべての負債を控除した残余の資産に対する請求権

収益…当該会計期間中の資産の流入もしくは増価又は負債の減少の形をとる経済的便益の増加であり、持分参加者からの拠出に関連するもの以外の持分の増加を生じさせるもの

費用…当該会計期間中の資産の流出もしくは減価又は負債の発生の形をとる経済的便益の減少であり、持分参加者への分配に関連するもの以外の持分の減少を生じさせるもの

これらの定義を読んでお気づきになられた点はないでしょうか? まず、資産・負債の定義がなされ、その他の要素の定義は資産・負債の定義から従属的に定義されているということがわかります。

すなわち、持分は資産から負債を控除したものであり、収益は資産の増加または負債の減少を発生させるとともに持分の増加を伴うもの、費用は資産の減少または負債の増加を発生させるとともに持分の減少を伴うものという具合になっています。

このような考え方を資産負債アプローチといいます。資産負債アプローチは財務諸表のうち貸借対照表を重視した考え方です。これに対し、収益費用アプローチと呼ばれる損益計算書を重視した考え方があります。私が会計学を勉強していた頃(約15年位昔のことですが)は、収益費用アプローチが主流であったと記憶していますが、今では資産負債アプローチが主流になっているようです。

次回は、資産及び負債の定義と資産負債アプローチが主流となっている背景を探っていきたいと思います。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その7)

いつまでフレームワークの話が続くのかとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、このフレームワークの考え方は会計の様々な分野に影響を与えています。従って、一度じっくり読み込んでみることが重要だと考えています。もうしばらくお付き合いください。

今日は、「目的適合性と信頼性を有する情報に対する制約」です。財務諸表の質的特性(財務諸表の利用者にとって有用であるための性質)として、理解可能性、目的適合性、信頼性、比較可能性の4つの要素があるとされていましたが、このうち、目的適合性と信頼性については一定の制約があるとフレームワークでは述べられています。その制約について、まとめてみたいと思います。

適時性

タイムリーでない情報は目的適合性を失う可能性があります。しかし、あまりにタイムリーな情報開示をしようとし過ぎると、その情報が信頼性を失うこともあり得るとしています。従って、経営者は目的適合性と信頼性の均衡を図る、すなわち、利用者の経済的意思決定のための要求をいかに満足させるかを考えなければならないとしています。不確実性の高い事象ほど、開示のタイミングが難しいというのは経験的に理解していただける方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ベネフィットとコストとの均衡

利用者が情報から得るベネフィットは、作成者が情報を作成するのに要するコストを上回るものでなければならないというのは、イメージとして理解される方も多いのではないかと思います。しかし、実際にこのベネフィットとコストを比較することは困難であるため、会計基準が作成を要求する情報を作成するコストをベネフィットが上回っているかどうかは判然としないのではないでしょうか。作成者の立場では、コストの方が上回っていると感じられる会計基準もあるかもしれませんね…。

質的特性間の均衡

コスト・ベネフィットの話もそうですが、質的特性の間にトレード・オフの関係がある場合は、それを考慮する必要があるとされています。興味深いのは、質的特性の相対的重要性は職業専門家の判断事項であると書かれている点です。最近の職業専門家に求められる判断は、会計処理の会計基準への準拠性の部分(会計処理が会計基準の文言とてらし合わせて妥当かどうかという点)が非常に厳しく問われているように感じられます。しかし、本来的には、ここにも書かれているように情報の相対的な重要性を勘案しつつ、判断を下せるのが、職業専門家(公認会計士)に求められる能力であり、そうあって欲しいと思っているのは私だけでしょうか?

いよいよ、次回からは「財務諸表の構成要素」をテーマとして取り上げてみたいと思います。資産とは、負債とは、持分とは、収益とは、費用とは、一体何なのでしょうか?

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その6)

今日は、財務諸表の質的特性(財務諸表が利用者にとって有用なものとなるための属性)の最終回、「比較可能性」です。これは、IFRSへのコンバージェンスが語られる時、必ずと言っていいほど登場するキーワードですので、なんとなく意味合いは理解されている方も多いかと思いますが、あらためてフレームワークではどのように定義されているかを読んでみたいと思います。

比較可能性

フレームワークでは、2つの観点から比較可能性の重要性を説明しています。

①1つの企業の趨勢分析を可能にすること

②他の企業との比較分析を可能にすること

コンバージェンスが語られる場合、「比較可能性」は②の意味で使われることがほとんどですが、財務諸表の情報が有用であるためには①も確保されなければならないということです。当たり前といえば当たり前の話ですが、ちょっと新鮮です。

一方で、フレームワークはこのようなことも述べています。

比較可能性は、単なる統一性と混同すべきではない。つまり、採用しようとする会計方針が目的適合性や信頼性の観点から問題がある場合に、より適切な代替的手法の適用を妨げるものではないとしています。(第41項より)

ただ、具体的にどのような場合が想定されるのかは、筆者本人にもよくわかりません。また、恣意的な代替的手法の適用を防止するために、より幅広い分野で会計基準の統一化は進んでいると考えるべきではないかとも思われます。

ここまで、財務諸表の質的特性について触れてきました。言葉としては目新しいものはなかったかもしれませんが、目的適合性の視点が極めて重要ではないでしょうか?

財務諸表の利用者(=投資家)の経済的意思決定(=キャッシュ・フロー生成能力の評価)に役立つ情報を財務諸表は提供できなければならないとしている点は、この後触れることになる財務諸表の構成要素の定義にも大きな影響を与えていると考えられます。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その5)

今日は、財務諸表の質的特性(財務諸表が利用者にとって有用なものとなるための属性)の3回目、「信頼性」です。これは読んで字の如く、財務諸表が利用者にとって信頼できるものであることですが、フレームワークでは非常に多くのコメントが記されています。

信頼性

フレームワークは、財務諸表が信頼性の特性を有するために必要な要件をいくつか示しています。

①事実を忠実に表現していること

事実を忠実に表現するためには、取引その他の事象を「単に法的形式に従うのではなく、その実質と経済的実態に即して会計処理され表示されること」(第35項)が必要であるとされています。

一方で、「ほとんどの財務情報は、それが意図したような忠実な表現にまで至らないという何らかのリスクを有している」(第34項)という記載も見受けられます。これは、取引その他の事象を識別することが困難さや測定及び表示上の技法を考案し適用することの困難さに起因するとされています。

②情報が中立であること(不偏性を有すること)

情報が中立であるために、フレームワークは1つの示唆を与えています。財務諸表を作成する際に、不確実性を伴うことが少なくありません。このような不確実性を伴う事象を財務情報として開示する場合、慎重性(ある程度の用心深さ)を行使することが必要になると書いています。不確実性を伴う事象であっても、会計数値が過大あるいは過小なものとなってはならないというわけです。

③情報が完全なものであること

情報が信頼性を有するために、情報の脱漏があってはならないとされています。すなわち、必要な情報が「完全に」含まれていなければならないということです。

私も、監査の仕事をしてきましたが、監査の仕事はまさに「会計情報の信頼性」を保証することだったわけで、会社の財務諸表がこの3つの要件を備えているかをチェックする仕事だったと思います。

フレームワークを読んで感じたのは、ついつい物事の形式的な側面を捉えて会計処理の判断をしてしまいがちだったなあということです。しかし、物事の実質を捉えるということは、ある意味主観的な判断に頼らざるを得ない部分があり、そういうことを考えると、事実を忠実に表現するということは非常に難しい問題があると感じています。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その4)

今日は財務諸表の質的特性(財務諸表が利用者にとって有用なものとなるための属性)の2回目、「目的適合性」です。

目的適合性

目的適合性とは、財務諸表が利用者の経済的意思決定に影響を及ぼすことをいいます。ここで、財務諸表の利用者が行う経済的意思決定とは「企業が現金及び現金同等物を生み出す能力を評価し、それらの発生時期及び確実性を評価すること」(第15項)でしたので、財務諸表はこの評価に影響を及ぼす情報を提供するものでなければなりません。

情報の目的適合性は、その性質と重要性によって影響を受けるとされています。情報の性質とは、情報の内容そのものであり、当然に影響を受けると考えられます。

一方、重要性については、「情報は、その脱漏又は虚偽表示が、財務諸表に基づいて行われる利用者の意思決定に影響を及ぼす場合には重要性を有する」(第30項)とされています。つまり、財務諸表の利用者に影響を与えるほどの脱漏や虚偽表示が含まれていない情報でなければ、財務諸表は目的適合性を有しないと言っているわけで、ある意味当たり前の話ですね。(フレームワークでは、重要性は情報が有用であるための入口又は境界線を示すものと述べています。)

フレームワークの記載自体にそれほど重要な意味があるとは思えませんが、財務諸表が利用者の経済的意思決定、すなわち、キャッシュ・フロー生成能力の評価に役立つ情報を提供するものでなければならないという思想に基づいて、財務諸表の構成要素の定義や具体的な会計基準ができていることには留意する必要があると考えられます。

次回は、3つ目の特性である「信頼性」について書いてみたいと思います。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その3)

少しお休みしておりましたが、IFRSの財務諸表の作成及び表示に関するフレームワークについて書いてみたいと思います。

今日のテーマは、財務諸表の質的特性です。質的特性とは、財務諸表が提供する情報がその利用者にとって有用となるための属性(性質)をいい、理解可能性、目的適合性、信頼性及び比較可能性の4つから成るとされています。

理解可能性

財務諸表が提供する情報は、利用者にとって理解しやすいものでなければならないとされています。この場合、利用者は「事業、経済活動及び会計に関して合理的な知識を有し、また合理的に勤勉な態度をもって情報を研究する意志を有すると仮定」(第25項)されます。ゆえに、複雑な問題であっても、それが難解だからという理由だけで会計情報から除外することはすべきではないとされています。

現行の会計基準を見たとき、事業、経済活動及び会計に関して合理的な知識を有し、また合理的に勤勉な態度をもって情報を研究する意志を有する利用者であれば、その内容を理解することが可能でしょうか? 私も会計に関する職業専門家のはしくれですが、理解できない会計基準はたくさんあります。これって、私の勤勉さが足りないのでしょうか…。

次回は目的適合性について触れてみたいと思います。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その2)

今日は財務諸表の作成及び表示に関するフレームワークの2回目です。

財務諸表の目的

財務諸表の目的は、「広範な利用者が経済的意思決定を行うに当たり、企業の財政状態、業績及び財政状態の変動に関する有用な情報を提供することにある。」とされています(第12項)。一見すると、よく耳にする文言のようですが、以下の2点に注意する必要があると思われます。

経済的意思決定とは?

「財務諸表の利用者が行う経済的意思決定には、企業が現金及び現金同等物を生み出す能力を評価し、それらの発生時期及び確実性を評価することが必要となる。」という記述があります(第15項)。 私が財務諸表論を学習した頃も財務諸表の利用者が行う経済的意思決定という言葉は使われていたように思いますが、現金及び現金同等物を生み出す能力、すなわち、キャッシュ・フロー生成能力を評価するというのは初耳です。国際会計の方向性は、このキャッシュ・フロー生成能力に着眼されている点に留意する必要があると考えます。

財政状態の変動に関する有用な情報

いわゆるキャッシュ・フロー情報のことと考えられます。フレームワークでは、「資金の定義を特定する試みは行っていない」とのことですので、キャッシュ・フロー情報と言い換えることはできませんが、「報告期間中の企業の投資活動、財務活動及び営業活動を評価するのに有用である」とされています(第18項)。 私が学習した財務諸表論では、財政状態及び経営成績に関する有用な情報を提供するというのはあったように思いますが、キャッシュ・フローというのは含まれていなかったように思います。今、財務諸表論を勉強されている皆さんにとっては、当たり前の話なんでしょうか?

これらのことからもわかるように、国際会計はこれまでの財政状態(貸借対照表)及び業績(損益計算書)に加えて、キャッシュ・フロー生成能力(キャッシュ・フロー計算書?)も重視しています。実は、このことが財務諸表の構成要素の定義にも重要な影響を与えているということができます。

個人的な意見ですが、これまでキャッシュ・フロー計算書というと、貸借対照表と損益計算書が確定して、その後に作成される従属的な計算書というイメージがありました。しかし、IFRSでは前者2つの計算書と同等かそれ以上の重要性をもって位置付けられているように思われますね。

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IFRS/財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク(その1)

先日、日本公認会計士協会主催のIFRSセミナーに行ったという話を書きましたが、そこで、「財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク」というタイトルの冊子が配られました。講師の方の説明によれば、様々な分野の会計基準が公表されているが、基本的にはこのフレームワークの考え方に沿って基準ができているとのこと。

今後、IFRSや日本の会計基準の改正を理解する上で、このフレームワークを理解しておくことは非常に重要ではないかと考えられます。そこで、今日から何回かに分けて、このフレームワークを読み、私なりに理解したことを書き記していきたいと思います。

フレームワークが取り扱うテーマは、①財務諸表の目的、②財務諸表における情報の有用性を決定する質的特性、③財務諸表を構成する要素の定義・認識及び測定、④資本及び資本維持の概念の4つから構成されています。なかでも、③が非常に重要な気がしますね。

財務諸表の利用者の情報要求(つまり、財務諸表を読む人が何を知りたがっていると考えるか?)についても、多面的に記載がなされています。しかし、結論として、財務諸表はこれらすべての情報要求を満たすことができないため、企業のリスク資本の提供者である投資者の情報要求を満たすことで、他の情報要求にもある程度応えることができると考えています。(この辺りを納得できるか、こじつけだと思うかは、皆さんのご判断にお任せしたいと思います。)

さて、投資者の情報要求について、フレームワークはどのように書いているかというと、「投資に関わる固有のリスク及び投資から得られる利益に関心を有する。投資者は、購入、保有、又は売却すべきか否かの意思決定に役立つ情報を必要とする。また、株主は、企業の配当支払能力を評価することができる情報に関心を持つ」とされています。

私なりの理解ですが、財務諸表は以下の2つの情報を求められていると考えられます。

・配当支払能力という観点からは、実現した利益の計算という伝統的な概念を踏まえている。

・投資の意思決定に役立つ情報という観点からは、企業の将来動向(現時点においては未確定の事象)に関する情報の提供をも期待されている。

このことが、フレームワークにおいて、どのように展開されているのかは、次回以降検討してみたいと思います。

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日本基準のコンバージェンスの状況

2005年に欧州証券規制当局委員会(CESR)がIFRSと日本基準との同等性評価を行った結果、日本基準とIFRSは全体として同等であるものの、26項目については重要な差異があると指摘されていました。

2007年の東京合意では、まずこの26項目について2008年中に何らかの結論を得ることが予定されています。すなわち、この26項目の多くについては、近い将来に会計基準等の変更が予定されている(既に公表されているものも含まれますが)ことになります。

先日参加した日本公認会計士協会のIFRSセミナーでも、この点が取り上げられていましたので、私なりに整理をしてみました

企業結合関係…2008年中に最終改訂基準の公表を予定。取り扱われるテーマは、持分プーリング方の可否、企業結合の対価算定日、負ののれん、少数株主持分の取扱、段階的取得、外貨建のれんの換算である。また、取得した仕掛中の研究プロジェクトの取扱については既に研究開発費に関する論点整理が公表されている。

連結決算関係…連結範囲(SPE等の取扱)については、適用指針第15号で開示の対応が図られているが、範囲自体を見直すかどうかは検討中である。在外子会社の会計方針の統一については実務対応報告第18号が2008年4月1日以降適用となる。また、関連会社の会計方針の統一については、2008年中に最終基準の公表を予定。

ストック・オプション…既に会計基準第8号が公表されており、会社法施行日以後に付与されたストック・オプションは費用化が求められている。また、注記事項の整備も行われている。

棚卸資産…低価法の強制については、会計基準第9号が2008年4月1日以降適用となる。後入先出法の廃止については2008年中に最終基準の公表を予定。

開発費の資産計上…2007年12月に研究開発費に関する論点整理が公表されている。

工事契約…2007年12月に会計基準第15号が公表され、2009年4月1日以降は工事進行基準が原則となる。

資産除去債務…2007年12月に公開草案を公表。2008年中には最終基準を公表予定。

退職給付会計…2008年中に最終基準を公表予定。割引率の決定方法等が論点となっている。

金融商品の公正価値開示…2007年8月に公開草案を公表。2008年中には最終基準を公表予定。これにより、より広い範囲の開示が要求されることとなる。

投資不動産…IASBとFASBの議論を踏まえて検討する。2008年中には最終基準を公表予定。

減損会計…IASBとFASBのコンバージェンスプロジェクトの議論を踏まえて検討する予定。

金融商品会計…日本の会計基準が複雑なため、技術的評価を継続するとしている。(金融商品会計基準がどのような方向性になるのかは、大きなポイントとのこと)

と、非常に多くの項目で、今後会計基準の改正が予定されていることには注意が必要かと思います。このブログでも1つでも多くの改正に関する情報を取り上げていきたいと思っています。

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IFRSセミナーに参加して

先日、日本公認会計士協会主催のIFRSセミナーに参加しました。東京合意後、会計士協会もIFRSの普及に力を入れていくということで企画された最初のセミナーでした。

まず、第1部として西川ASBJ委員長の講演があり、第2部ではパネルディスカッションが行われました。パネリストは八木良樹氏(日本経団連経済法規委員会企業会計部会長、日立製作所取締役)、磯山友幸氏(日本経済新聞社証券部デスク、「国際会計基準戦争」等の著作で知られる)、山田辰巳氏(国際会計基準審議会(IASB)理事)、増田宏一氏(日本公認会計士協会会長)の4氏でした。

いずれも、IFRSの世界での第一人者と呼べる方の講演・パネルディスカッションでしたので、非常に関心を持って聞くことができました。その中でも、私が印象に残った言葉をいくつか書いてみたいと思います。

・IFRS=世界でただ1つの高品質な会計基準であるということ。高品質な会計基準とは、投資家が企業の将来キャッシュ・フローを予測できるものであり、企業の財務リスクが表現されるものである。また、会計基準とは市場で選択され、評価されるものである。

昔学んだ財務諸表論からはおよそ想像もつかない言葉です。投資家重視の会計のあり方には疑問がない訳ではありませんが、投資家に見向きもされない会計基準なんて意味がないと言われてしまえば、それまでなのかもしれません。やはり社会の関心がない世界でマニアックに活動するよりは、社会の関心があった方がやりがいもありますしね。

・会計基準のコンバージェンスのみに留まるのか。 日本独自の諸制度(例.税務の確定決算主義、連結単体の二重開示、金融商品取引法と会社の二重開示)についても見直しが必要ではないか。

個人的に常日頃感じていることでしたが、これだけの方が集まっている席でこういう話を聞くと、より一層現実味を帯びてきました。今後の動きにも注意が必要かと思います。

平日の日中に行われたセミナーでしたが、参加者が少なかったのは寂しい限りでした。いつまでも「国際会計は日本人には関係ない」なんて言っていられないと思うのですが。

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東京合意

昨年の8月8日、日本の企業会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準委員会(IASB)は日本の会計基準と国際財務報告基準(IFRS)のコンバージェンス作業を加速化することの合意ができたことを公表しました。これが、いわゆる「東京合意」と呼ばれるものです。

この合意が公表されたとの新聞記事は日経の一面にも掲載され、IFRSに関心を持ち始めていた私も衝撃を持って受け止めたことを記憶しています。何が衝撃的だったのでしょうか?

日本の会計基準は、その経済活動の独自性やそこから導かれる会計基準の独自性を声高に主張していると私は考えていました。(後に、それはいささか誤りであったと気づくのですが)。それが、一転してIFRSとのコンバージェンス作業を加速化させると発表したのですから、そのインパクトを例えるならば、江戸時代の鎖国開国か第二次世界大戦の終戦(ポツダム宣言の受諾)くらいのものがあると感じました。(大げさかもしれませんが)

それと同時に、日本の公認会計士も今まで国際会計の分野としてあまり関心を示していなかったIFRSや米国会計基準の領域にも関心を持たざるを得なくなったと感じました。それと同時に、この分野に早く精通することは、会計士として何らかのビジネスチャンスになるのではないかとも感じています。

日本公認会計士協会も、このような環境変化に対応するため、2008年からIFRSに関するセミナーを会員向けに開催しています。明日は、そのセミナーに参加してこようと思っています。その模様は、またこのブログにupしたいと思います。

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実務対応報告第18号

皆さんは、企業会計基準委員会 実務対応報告第18号 「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」というものがあるのをご存知でしょうか。

もう、公表されてから、1年半が経過しているので、ご存知の方も多いと思います。私がIFRSに関心を持つようになったきっかけは、この実務対応報告第18号が公表されたことなのです。

これまでは在外子会社が個別決算を行うのに適用する基準は原則として日本基準としながらも、例外的に所在地国の会計基準も認められていました。このため、大半の企業は、在外連結子会社が採用する会計基準を所在地国の会計基準としていたのではないかと思われます。

実務対応報告が適用される2008年4月1日以降開始される事業年度からは、原則は日本基準としながらも、例外的に採用が認められるのは、米国会計基準と国際財務報告基準の2つのみとされています。(米国会計基準や国際財務報告基準を採用した場合でも、必ず日本基準への修正が求められる事項がありますので、ご注意ください。)

もともと、連結会計には関心のあった私ですが、この実務対応報告を読んだ時に、それまで国際会計として縁遠いものと思っていた米国会計基準や国際財務報告基準を日本の会計士もきちんと理解しておかなければならなくなったと衝撃を受けたのを覚えています。

私は、この実務対応報告第18号が日本企業に与える影響は非常に大きいものと考えています。少なくとも、所在地国の会計基準と国際財務報告基準との差異をきちんと分析し、在外子会社がこの差異の影響を受けるのかどうかをきちんと評価しておく必要があるのではないかと考えています。J-SOXの導入が急がれていますが、子会社が採用する会計基準が適切なものかどうかを評価することは、全社的統制や決算・財務報告プロセスの非常に基本的な部分に該当するのではないでしょうか?

実は、この件で、私もいくつかの国に出張し、BIG4の日本人駐在員の方とお話する機会がありましたが、非常に動きが遅いことを気にかけていらっしゃいました。監査法人から指摘がないからといって、安心するのは少々危険な気がする今日この頃です。

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はじめに

最初の投稿になりますので、まずは私の自己紹介をしておきたいと思います。

氏名:津田佳典(つだよしのり)

略歴:1972年和歌山県生まれ。大学在学中に公認会計士第2次試験(当時)に合格し、大阪市立大学卒業後、中央監査法人(後にみすず監査法人と改称)に入所。以後、10年以上にわたり、監査業務に従事する一方、連結決算早期化・退職給付会計・事業再編会計等の研究プロジェクトに参加。2007年7月、みすず監査法人を退職し、2007年8月からあすかコンサルティング㈱に参画。公認会計士。

私が今年の夏、勤務していた監査法人を退職したのは、法人が解散(この世界に入った頃には考えてもみなかったことですが)するという大きな出来事があったことも1つですが、もう1つは、会計・監査の世界に非常に大きな変化が起こっている中で、一度じっくりその動きを研究してみたいという思いが強くなったこともあります。そこで、監査法人を飛び出し、同じ志を持つ公認会計士の仲間が作るコンサルティング会社に参画した訳です。

IFRSへのコンバージェンス・J-SOXの導入が会計・監査の世界にどのような影響を与えるのかを、深く洞察してきたいと考えています。また、このブログを読んでくださる皆さんにできるだけ理解していただけるよう、平易な言葉で書き込んでいきたいと考えています。

どうぞ、よろしくお付き合いくださいませ。

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